ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

草野翠に加瀬薫(1)

 ときどきわけもなく歌いたくなる歌がある。大学の校歌だ。「わけもなく」だから、場所だって選ばない。公園をとぼとぼ歩いているときとか、夜の帰宅途中とか、朗らかに口ずさんだりする。車の中でも、よく歌う。ドラレコにも録音されてるわけで、まあ事故とか起こしたら恥ずかしいんだが。
 歌いたくなる理由はわからないけど、歌ってしまうその前提として、動かしがたい事実が一つある。知っているということだ。いくらそんな気分になっても、憶えてなかったら歌いようがない。
 自分の大学の校歌を歌う。これは、ぼくが学生だった昭和終期という時代においては、ドン臭い行為だった。時代と一緒に踊るのを基本にしていて、また他人から見て「イケてるかどうか」をことのほか重要視したぼくだったが、この点は別。入学早々に大学から送られてきた校歌のカセットテープを大喜びで迎えると、一生懸命歌って憶えたのだ。
 今思えば、なんとラッキーだったことか。