ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

特殊能力でもオカルトでもなく(終)

Kindleといえば、新型Kindle Fireの発売が発表されている。この速読にまつわるシリーズが予想以上に長くなってしまった結果、気づいたら「まもなく発売」になってしまっていた。 初期ロットにはあまり飛びつかないほうだけど、今回は違う。わざわざAmazonプ…

特殊能力でもオカルトでもなく(8)

でも、本の持つ優位性はそれだけだろうか。 ひとつには、それが有体物であるということ。知識は「本」という物理形態をとることで、実体化する。知識は情報で、それ自体所有できるものではない。でも本は所有の対象だ。フェティシズムの対象にもなり、地上に…

特殊能力でもオカルトでもなく(7)

さて、年代的に上の方の人間だと、「知識の基本=本」ということについて疑問はない。でも、学生たちの年代に対してこれを言うと、たちまち言い返されてしまう。なので、事前にその言い返しに言い返しておこう。 それは、インターネットは本の代用品にはなら…

特殊能力でもオカルトでもなく(6)

というわけで、速読から始まった今回の話題、いつの間にか読書論に近いものになっていた。それならそれで、総括してしまおう。 まず「読書」という行為において、こんな価値観がある。 重要なのは「噛みしめるようにして読む」ことである。 なぜなら、著者は…

特殊能力でもオカルトでもなく(5)

読書には、戦いとしての側面がある。当事者の一方は読者。そして他方は言うまでもなく、著者だ。別の言い方をすれば「批判的な読書」というやつで、知的な営みとして本を読む上では、欠かせない要素だと言っていいだろう。 まあ戦いと言っても、砂浜のビーチ…

特殊能力でもオカルトでもなく(4)

速読に過剰な期待を抱く人には、実は知っておかないといけない事実がある。「読む」と「内容を記憶する」は別問題ということだ。 読み終えた時点で得られているのは何か。実は「読み終わったという経験」だけだ。これはどんな読書でもそうで、速読だけの事情…

特殊能力でもオカルトでもなく(3)

思い出してみると、大学で最初に入ったゼミの先生が、こんなことを言っていた。 「まず序文を読んで、それから見出しをじっくりと見ること。 それが正しい専門書の読み方だよ」 佐藤式超速読術は、考えてみるとこの「見出しだけを読む」と同類のやり方だった…

特殊能力でもオカルトでもなく(2)

というわけで、今回のシリーズは速読の話だ。イメージ的にはどうにも「能力開発」系の怪しさを伴っていたんだけど、できるようになってみれば、特殊能力でもなければオカルトでもなかった。 今回習得したのは、佐藤優さんが『読書の技法』で書いているやり方…

特殊能力でもオカルトでもなく(1)

本さえ読んでいれば世の中がわかるなんて思ってるバカは、もう今の時代いないだろう。でも、本すら読んでいなければもっとだめって真実に気づいてないタワケは、けっこういるような気がする。 もちろん「世の中」というのはいろいろな側面の寄せ集めでもあっ…

登った、見た、下りた(8)

まあそんなわけで、登ってくることは達成したわけだ。そして長年の念願だった、宝永火口も満喫することができたし。でも、頂上からの風景は、またしてもおあずけだ。 さて、この残った宿題、どうしてくれようか。「登らないバカ、二度登るバカ」なんて言葉が…

登った、見た、下りた(7)

夜間にはすっきり地上まで見えていたけど、御来光タイムにはすっかり雲海になっていた。下から見たら、曇り空なんだろう。でも、その雲の上に、朝日は出てくる。ちょっと意地悪な雲が直前にかかってきたりしてイライラしたんだけど、無事見ることができた。…

登った、見た、下りた(6)

山小屋泊なんてのは、これもn十年ぶりの体験になる。そのときは富士宮口で、信じられない程の詰め込められ方をしたものだ。すぐ隣に他人の顔がある……なんてもんじゃないよ。あるのは足。頭と足を互い違いにしてみっちりと詰め込むわけだね。 時代が違うから…

登った、見た、下りた(5)

火口底にはベンチがある。実際には、地元の小学生の遠足コースなんだとか。そこを横目で通り過ぎ、いよいよ登りが始まる。 登る道は、ちょっと堪えるかも。かなり急な登りなんだけど、足元が登山用語でいう「ザレ場」ってやつで、細かな火山灰をざくざく踏み…

登った、見た、下りた(4)

富士登山自体がn十年ぶりだけど、実は宝永山への思いもn十年ぶりだったりする。 はじめてそれを意識したのは、最初に登ったときだった。6合目のところには「宝永遊歩道・お年寄りや小さなお子様でもだいじょうぶ」なんて書いてある看板があり、それを見て…

登った、見た、下りた(3)

駐車場に降り立ったとき、空は「雨ではないね」ぐらいだった。高度的にはたぶん2合目程度の場所で、既に気候は高原っぽい。でも、山はまだまだ上のほうだから、天候が違っていることへの期待はつながってる。そんな一縷の望みを持ちながらシャトルバスに乗…

登った、見た、下りた(2)

富士登山で、悩ましいのが行程だ。 昔と違って、今では一泊するのが常識……いや、良識かな、そういうことになっている。まあ平地での徹夜すらきつくなってる身だから泊まることには異論はないんだけど、登山行程のどこに持ってくるのかが悩みの種だ。あまりに…

登った、見た、下りた(1)

8月最後の週末を姑息に1日だけずらした28日(金)、富士山に登ってきた。 気が付くとまるっと一週間経っている。この間ブログ更新もなしだ。このあたりはなかなかめんどくさい心理に根ざしている。 富士登山なんて、n十年ぶり。また、ずっと前から準備してた…