ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

だいじょうぶかな、FC2(終)

書きながら、昔「さくらんぼ小学校」なんて名前が、問題になったことも思い出した。 何年か前のこと、「従来の型にはまらない、ユニークな名前の学校や自治体」が全国的にトレンドになる中、山形のどこかの自治体首長が、新設校の名前をそう決めて発表したと…

だいじょうぶかな、FC2(3)

早い者勝ちというのは、いちばん公平なやり方かもしれない。 朝日新聞社のアドレスは、www.asahi.com。これは、同社が「日本」なんて枠を超越した汎人類主義に立つ会社だから……なんてわけじゃなく、単にco.jpを他社に先にとられてしまったからに他ならない。…

だいじょうぶかな、FC2(2)

インターネットは、まだモデム接続(しかも24.4bps)の頃、iijで始めている。 最初にメールアドレスの希望を入れるところで、真っ正直に「yamada」と入力したところ、こんな返事が帰ってきた。 「このアドレスは既に存在します」 うん、そりゃまあ当たり前だ…

だいじょうぶかな、FC2(1)

このページは、「Powered by FC2」で動いている。ぼく自身はブログ用途以外は気にしたことがないから、単に無料ブログとしてしか意識していなかった。でも一部の人にとっては、「FC2=エロ系まとめサイト」だったようだ。当時のURL「gamescience.blog.fc2.co…

『その女、アレックス』を読んで(2)

……なんて、なんで延々とタイトルの話ばかりしてるのか。 困ったことに、そんなことでもするしかない小説なのだ。なぜなら、少しでも筋書きを書けば、ネタバレになってしまうから。 アレックスと刑事との視点を交互に切り替えながら、物語は描かれていく。通…

『その女、アレックス』を読んで(1)

『その女、アレックス』を読んだ。 なんで手にとったのかわからない。買ったのは学校近くのブックオフで、ぼくはここでは新書やビジネス書を中心に買っていて、小説のコーナーにはあまり立ち寄らないからだ。なのに、ふと立ち止まり、手に取り、そのままレジ…

カフェでのつれづれ(終)

カフェは時間を過ごす場所だから、店の居心地の良さというのは重要だ。 昭和喫茶の問題点は、このへんにもある。客の回転を良くしようと思って、居心地の悪さを演出してしまいがちだからだ。ふかふかのソファに低いスツールなんてのじゃ、文章書いたりはでき…

カフェでのつれづれ(2)

でもいちばんの原因は、近くの席に座っている家族らしきグループの存在だったりする。 ぼくの向かいに、キャスおばさんみたいな感じの女性がいて、息子とおぼしき青年相手に話し込んでいる。また、話す姿がキャスおばさんみたいで、女性っていうのは、なんで…

カフェでのつれづれ(1)

ホットコーヒーをグランデで頼んだ。なので、ぼくは長時間居座ることについて、本気だったのだ。だけど、座った席にスタッフが品物を持ってきてくれた頃には、もう腰が浮きかかっている。 まず、どうにも書く気が起きてこなかったこと。 昼過ぎに、ランニン…

直球勝負、ゲームデザイン!(終)

では、どのくらいの水準に達していたらOKなのかというと、これは一概には言えない。そもそも企画職の募集数なんて、「ゼロ〜若干名」だ。同時期に会社を訪れた志望者の中のトップ級でないと入れないと考えたほうがいいだろう。そしてどのぐらいがトップにな…

直球勝負、ゲームデザイン!(12)

気づいたら、タイトル横の数字が桁上りしていた。「毎日更新」だった以前と違って、使った回数の把握がちょっとやりづらい。なるべく10回程度を上限にしようと思っているので、そろそろいったん区切りをつけたい。 ここまでの話を、ざっと要約しておこう。 …

直球勝負、ゲームデザイン!(11)

ゲームを知らないことには、ゲーム屋志望としては話にならないという話だったが、ゲームだけ知っていればいいというものではない。 作品としてのゲームには、文芸・美術から映像・音楽に至るまでの全要素が含まれている。だから、知っておくべきことというも…

直球勝負、ゲームデザイン!(10)

ゲームには、芸術、工学、商品という3つの面がある。ゲームデザイナーは、このそれぞれについて、積極的に知っていなければいけない。 工学というのは、さしあたっては「仕組み」になるだろう。ソフトウェアや3DCGについて、それがどのように動いているのか…

直球勝負、ゲームデザイン!(9)

昭和期のサラリーマンの間に伝えられていた、こんな言葉がある。 「全部優先!」 体はひとつしかなく、持ち時間は24時間しかない。だから仕事というのは優先順位をつけてこなしていくしかない。じゃあ、どれを選ぶべきか。ここで出てくるボスからの言葉が、…

直球勝負、ゲームデザイン!(8)

ここでもうひとつ、言えることがある。ゲームデザイナーの作品は、ゲームだということだ。 ゲームデザイナーが作る文書として、企画書というのがある。でもこれは作品のために作られる資料であって、作品ではない。企画書そのものが美しい必要はない。それに…

直球勝負、ゲームデザイン!(7)

業界には、ゲームデザイナー不要論者がちょくちょくいる。前、ゲーム屋が集まる掲示板で「ゲームデザイナーとは何する人か」をめぐる議論があって、そこでプログラマによるこんな書き込みをみたことがある。 「デザイナーなんて、オレの理解でいうと、 スケ…

直球勝負、ゲームデザイン!(6)

もう一方の管理者、これはどのようなものか。 伝統的に、企画職のいちばん主要な役割は「開発庶務」だ。ソフトウェア開発にはいろいろな雑用が発生する。電話とる、文書や書類を整える、スケジュール切る、会社全体の会議に出る、マスコミに対応する……こうい…

直球勝負、ゲームデザイン!(5)

提案者とは、何か。 ゲームデザイナーは、新しい遊びを作る。ただ、ひとりで作るわけじゃないから、他人に提案しなければならない。まずは自分のボスで、次にプロデューサーなどの決定権を持つ人に対して。企画が通ればスタッフに向かって提案する必要がある…

直球勝負、ゲームデザイン!(4)

デザインという言葉はバズワードで、好きな内容を盛り込める単語になってしまっている。一般的傾向としては「実作業に先立って行う、手よりも頭をつかう仕事」ってことが言えるだろう。 今はどうか知らないけど、「絵もプログラムもできないから(しなくてい…

直球勝負、ゲームデザイン!(3)

さて、元のテーマ「ゲームデザイナーにはどうやったらなれるのか」に戻ろう。 これは、実はとても簡単に言い表すことができる。クリエイターの世界というのは、そもそもそんなに複雑じゃない。分野を問わず、ある原理に基づいて動いている。 「作れる人には…

直球勝負、ゲームデザイン!(2)

本気で論じ出す前に、ゲームデザインという言葉の意味について確認しておきたい。 実際、いろいろな人がいろいろな形でそれを定義している。ぼく自身だって、最初の授業で論じるのがこれだ。ここは、アカデミック系の分野でたぶんいちばん被引用率が高い、サ…

直球勝負、ゲームデザイン!

『攻殻機動隊』が25周年なんだそうで、気がついたらぼくのゲーム屋歴もそれに近い水準になっていた。 生まれてはじめてゲームの企画書を書いたのは、まだファミコンも登場していなかった80年台前半のこと。その後あれこれあって、20代の終わりにゲーム会社に…