ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

テニスについて少々(終)

ゲームの話も一応区切れたので(これ以上続けると、スポーツゲーム一般の話題になってしまいそうだ)、錦織選手に話を戻して、シリーズを締めることにしよう。 錦織とくれば、胸に輝く「ユニクロ」のマーク。これはかなり印象的だ。もちろんプロ選手なんだか…

テニスについて少々(8)

スポーツは、ゲームのモチーフとしては定番だ。ただ、昔と今とでは、全く違う。ファミコンソフトでのスポーツは、ただのアイコンだった。先述の『テニス』だけでなく、『ベースボール』も、実際の野球とは似ても似つかないプレイアビリティになっている。 一…

テニスについて少々(7)

錦織選手が負けてしまった。奇しくも少し前に指摘したとおりで、「僅かな実力差が決定的な違いとなって現れる」という、テニスならではのシビアな特徴がみごとに発揮されてしまった結果だ。 活躍にあわせて書き綴って来たこのシリーズ、ここらで終えるのが筋…

テニスについて少々(6)

このブログは一応ゲームがテーマだから、そっち方面の話題もしてみよう。 テニスのゲームというと、ファミコン時代に印象的なタイトルがある。ジャレコ『燃えろ!プロテニス』だ。 ジャレコとくれば、『燃えろ!プロ野球』。当時いっぱいあったプロ野球ゲー…

テニスについて少々(5)

書き溜めが多いこのブログだけど、今回のシリーズはだいたい前日ぐらいに書いてる。今この文章を書いている数時間前、錦織選手が準々決勝進出を決めた。今回のシリーズは、気分的に、終わったところで終わりかなと思っていて、だからまだしばらく続くことに…

テニスについて少々(4)

さて、こんな競技特性と決して無関係ではないと思われる、テニスという競技に言える特徴がひとつある。 「性格の悪いやつが強い」 スポーツ漫画のダメなところを凝縮して作ってしまった感のある『テニスの王子様』、どこがどうとか言う必要もないほど現実離…

テニスについて少々(3)

こんな感じで「王者」を語れるのは、競技スポーツとしてのテニスの、最大の特徴だろう。「選手個人の強さを湛える」という要素が最も大きいスポーツ、それがテニスなのだ。 野球やサッカーのような団体競技では、誰が王者だとか論じることが難しい。メッシだ…

テニスについて少々(2)

テニスファンとしての『世代』は、「王者といえば?」への答えで分けられるだろう。 ぼくにとっては、コナーズだった。ただ、実際にはもうマッケンローへの世代交代が進んでいたころだ。そのマッケンローは、既存のスタイルにこだわらない奔放さが持ち味で、…

テニスについて少々(1)

今、テニスが熱い。言うまでもなく、錦織選手の活躍のおかげだ。 「全く日本人ってのは、流行りだすとすぐに飛びつくんだから」 なんてしたり顔でいいそうなコメンテーターの顔、5つぐらいは即座に思いつくけど、こういう人は日本人がどうだったら満足してく…

野菜も食べなきゃだめ!

この文章を書いている今、センター試験の初日が終わったところだ。 ぼくが対象年齢だった頃にあったのは、共通一次試験だった。5教科各200点で、1000点満点。これは今のセンター試験でも同じ。ただ、内容と方式は大きく違っている。というのも、共通一次には…

1回休み明け

インフルエンザも3日目だ。ここまで来ると、“風邪の親分”とでもいうべきあの病気特有の症状というのはなく、ただの風邪ほどのことすらなくなってくる。ただ、関節や筋肉の別の場所が痛んでいる。インフルに必死で耐えていたところが、ほっとひと安心したのか…

1回休み

今日は「1回休み」の日になってしまった。 昨日からとにかく調子が悪く、夜中に胸痛もあって、医者に行った。熱はほとんどなかったのだが、順番待ちしてる間に上がっていたのだろう、測ったら38度オーバー。すぐに綿棒鼻に突っ込む検査の対象となり、なんと…

創作空間としてのマクド(2)

マクドナルドが創作空間として使える理由を、いくつか挙げてみよう。 まず安いこと。ランチを食べようとするから千円札が消えてしまうんであって、カフェ代わりに使う分には、とても安上がりだ。実際、今回ぼくのあごを湿らせたカフェオレは、200円で間に合…

創作空間としてのマクド(1)

週末のふとした空き時間、読んだり書いたりで使いたいとき、ぼくはカフェに行く。 やはり基本は、スターバックスだ。持ちこむツールは、MacbookAir。そしてカフェラテの湯気であごを湿らせながら、足くんで文章を書く……とまあ、そういう時間の過ごし方をよく…

年賀状の憂鬱

今年も年賀状を出せなかった。 自ら出すこと自体は、もう何年も前からやめている。あけおめメールだって出してない。ただ、これは単に年賀状に対してそうしているというだけで、「世間づきあい」全体をストップしてるわけじゃない。そのため、送ってきてくれ…

ぼくが弁理士をめざす理由(終)

受験にまつわる苦労話も、合格してしまえば「いい思い出」だ。そして体験記の結びには「諦めずに受け続けろ」なんて書いてある。そりゃそうだよね。受け続けなかったら、受かるわけなんてない。でも、それは宝くじの高額当選者だって同じだと思うのだ。たま…

ぼくが弁理士をめざす理由(9)

著作権を中心に、クリエイターの守護者を任じる弁理士。どう活動するのかは、あれこれと構想している。ただ、一つ大きな問題がある。弁理士試験というのが「主に特許法」の試験だということだ。 これはぼくにとって大きな障壁だ。先述のように、著作権法はほ…

ぼくが弁理士をめざす理由(8)

ぼくにとって著作権との関わりはかなり古い。言葉を初めて知ったのは、年齢まだ一桁の子供だった頃だ。学校から押し付けられていた計算ドリルの片隅に書かれていた、こんな一文からだった。 「このドリルを無断で複製することは、著作権法違反になります」 …

ぼくが弁理士をめざす理由(7)

そんなわけで、問題の多い現在の制度、これが健全に解決されなければならず、そのためには意思決定中枢にゲームクリエイター畑の出身者が入り込んでいないといけない。これが、大きな視点でぼくが感じているプロブレムだ。 だけど、自分自身の問題として捉え…

ぼくが弁理士をめざす理由(6)

ソフトウェアの世界は、特にそういう言葉が使われる前から、グローバル化が進んでいた。創成期にはユニークな会社が多かったゲーム業界も、産業として確立することでどんどんグローバル化していった。その結果、アメリカ企業の悪いところまで、しっかり採り…

ぼくが弁理士をめざす理由(5)

法律は、専門家集団が作る。 官僚が原案をまとめ、政治家が議会で議決することで決まるから、この二者だけしか見えていない低レベルな論者も少なくないけど、決定プロセスの実体部分を担っているのは、専門家集団……具体的には、学者、実務家、官僚だ。彼らは…

ぼくが弁理士をめざす理由(4)

想定外の連中が想定外の権利を行使する……実際に、どんなことが起きているのか。これは、ゲームに則した話がわかりやすいだろう。 任天堂は『ティアリングサーガ』のゲームデザイナーを「著作権侵害」で訴えた。自社のゲーム『ファイヤーエムブレム』の盗作だ…

ぼくが弁理士をめざす理由(3)

そもそも、強い権利が、なぜ認められているのか。これは、立場の弱い個人が前提になっていたからだ。近代法の原理は「法の下では平等」で、作家だろうが出版社だろうが、対等の契約主体となる。とはいえ、現実の力の差はあきらかで、これを放置していたので…

ぼくが弁理士をめざす理由(2)

著作権法の何がヤバいのか。あえて詩的な表現をとれば「怪物化しつつある」ということだ。パテントトロールなんて言葉がある。パテント=特許で、特許権をネタにえげつない商売をしている連中への呼び名だ。だけど著作権の場合は、事情が違う。著作権という…

ぼくが弁理士をめざす理由(1)

弁理士試験合格を目指している。去年(2014年)が初挑戦で、今年が2度めだ。 多くの人にとっては、この試験が何なのかあたりから、解説が必要だろう。弁理士というのは、知財(知的財産権)に関する専門職。特許庁への出願を代行したり、取得した権利の管理…