ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

全てはゲームへ導く

斜鏡な日々(終)

今回はいつにも増して、だらだらと書き連ねてしまった。 元々が、ぼやきだからね。建設的でないのも、ちょっと仕方ない。実際、最近のぼくは特許法の写経に忙しく、あまりブログの文章を書いている時間がとれないでいる。今日は休日出勤で、しかも出勤時刻が…

斜鏡な日々(5)

お経は、憶えないといけないものなんだろうか。 現実問題として、アンチョコみながらお経を読む坊さんには、あまり会わない。実家の宗派は臨済宗で、般若心経以外にも「なむからたんのう、とーらーや、とーらーや、」なんて梵語を音転写したのまで、葬儀や法…

斜鏡な日々(4)

暗誦といえば、祝詞にも取り組んだことがある。 きっかけは、当時日課にしていた熱田神宮参拝でのことだった。その頃、ぼくは昼休みに早足ウォーキングをしていた。学校から出て、熱田神宮に入り、玉砂利をじゃりじゃりと踏みしめながら歩く、概ね30分ぐらい…

斜鏡な日々(3)

暗記が好きな人は少数派だろう。ただ、ノリと勢いでやれてしまうことがある。化学の周期表の「水兵リーベ」だって、作られたときはそんなシャレだったんだろうね。ぼくの代では、これはもう体制に組み込まれてしまっていたから、遊び心の対象にはならなかっ…

斜鏡な日々(2)

お寺には「写経体験」みたいなものもある。坊さんが直接指南してくれるような本格体験もたぶんどこかでやってるんだろう。でも前にぼくが体験したのは、もっと観光ライクなやつだ。場所は京都の三千院。入った部屋の一つがそのための場所だった。誰もいない…

斜鏡な日々(1)

試験が終わって、3週間がたった。パーッと遊んだのかっていうとそんなこともなくて、粛々と勉強を続けている。 最近やっているのは、条文の書き写しだ。条文の中の主要なものをチェック、ノートに手で書き出していく。 条文なんて、いくらでも印刷されたも…

『その女、アレックス』を読んで(2)

……なんて、なんで延々とタイトルの話ばかりしてるのか。 困ったことに、そんなことでもするしかない小説なのだ。なぜなら、少しでも筋書きを書けば、ネタバレになってしまうから。 アレックスと刑事との視点を交互に切り替えながら、物語は描かれていく。通…

『その女、アレックス』を読んで(1)

『その女、アレックス』を読んだ。 なんで手にとったのかわからない。買ったのは学校近くのブックオフで、ぼくはここでは新書やビジネス書を中心に買っていて、小説のコーナーにはあまり立ち寄らないからだ。なのに、ふと立ち止まり、手に取り、そのままレジ…

今では後悔してないけどね(4)

思うに、こうした“自己分解”から逃れるための秘訣は、描き手として現役を続けることにあったんじゃないかと思う。 例えば漫画家。多くの描き手は連載途中でも進化するけど、全員なわけじゃない。高橋留美子さんとか小山ゆうさんとか、ぼくが初めて見た30年以…

今では後悔してないけどね(3)

自分の絵が嫌いという現象、これは昔からそうだったわけじゃない。描いては自分でうっとりしていた時代だってあった。まあそういうのがなきゃ、マンガ家とか目指さないし。やがてマンガ家という志望は消えたけど、「絵を描く」快感は引き続き残った。 描いて…

今では後悔してないけどね(2)

自分の絵がどうにも好きになれない。これが原因だ。でもそのへん、ストレートじゃない。 何が気に入らないのかというと、まず古いことだ。何しろいちばん熱中していたのが昭和の頃だ。すでに、赤ん坊がおとなになって自身の赤ん坊を産んだりするほどの年数が…

今では後悔してないけどね(1)

先日、小説の挿絵を描いた。それで、落ち込んでしまった。 ライトノベルの同人誌みたいなものを作っている。いわゆるサークル活動としてだ。書くのは学生で、教員であるぼく自身のポジションは、編集人兼発行人ってとこになる。 ライトノベルとくれば、イラ…

ほんとは256倍くらいかな(終)

なんだか本題から外れて、だらだらと続いてしまった。ほんとうはカラパイアで見た記事へのコメントだったのだけど、いつの間にか「批評論」になってきてしまった。そういうのはそういうので改めて書くとして、本題に戻ってまとめてしまおう。 全体としておも…

ほんとは256倍くらいかな(8)

小学生のお兄ちゃんが叱られてるとき、幼稚園児の弟くんがお母さんの横に立ってたりする。この子の“自分の立ち位置”は、お母さんと同じだ。 「そうだぞ、兄ちゃん、だめなんだぞ!」 こんなこと言って後でお兄ちゃんにぶたれたりするわけで、こういうのは微…

ほんとは256倍くらいかな(7)

予定外の記事を書いてしまったけど、1回で元へ戻そう。ただ、回り道を始めてしまった直後なので、“元の”といってもストレートに戻るわけじゃない。批評、の続きだ。 ボロクソに貶すというのは、それ自体注目すべき現象だとも思う。 掲示板レベルの媒体では、…

ほんとは256倍くらいかな(6)

そんなわけで、かつては情報をどうやって遮断するかというプロデューサー的な立場での問題だった本件、今ではもっぱらクリエイターに委ねられた問題と言える。「その欲求をいかに我慢するか」ということだ。 ちょっとGoogleを叩けば、いくらでも転がり出てく…

ほんとは256倍くらいかな(5)

さて、4はけっこう深刻な問題をはらんでいる。 クリエイターは、確かに批評を読みたがる。雑誌のようなものはもちろん、ユーザーからの声も。でも、それはいいことなのだろうかというと、疑問だ。批評というのは、必ずしも肥やしになるわけじゃない。出した…

ほんとは256倍くらいかな(4)

なんてまるで揚げ足取りしてるみたいだけど、結局こういうのは程度の差なんであって、基本的には「同感ッ!」なのだ。ぼくの知る実感と、この人が書いていることとの違いは、国の差かも知れないし、時代の差かもしれない。 あるいはここでも、“ピケティ効果”…

ほんとは256倍くらいかな(3)

話を本題に戻そう。 2についても、実感とはちょっと違ってくる。修羅である期間なんて、せいぜい期間終盤1/4くらいじゃないだろうかと思うのだ。だいだい、期間の最初から三角目吊り上げてる開発部員なんてのが、イメージできない。むしろ、焦らなくちゃいけ…

ほんとは256倍くらいかな(2)

じっさいのところ、どうなんだろうか。 まず1について。ゲーム開発は、たいへんだ。ただ、今ぼくが実際に接している志望者というのは、それが専門学校生だろうがそれ以外の人だろうが、たいていそう思っている。もちろんその想像は実際のたいへんさを具体的…

ほんとは256倍くらいかな

いつも見ているサイトの一つ「カラパイア」で、ちょっとおもしろい記事を見つけた。タイトルは『関わってみて初めてわかる、テレビゲーム開発について理解していなかった5つのこと』。批評サイトで市販ゲームについて書いていた人が、ゲーム開発会社に入社し…

平気で半世紀なわけですよ(終)

今、フィクションの世界でいちばん活躍しているスパイといったら、『ミッション・インポッシブル』のイーサン・ハントだろう。ただ、彼の場合、あまりにも能力が高すぎて、現実的な憧れの対象にはならない。『ゴールドフィンガー』を観て思ったのは、ジェー…

平気で半世紀なわけですよ(5)

ぼくたちの年代にとってのスパイとくれば、007とも限らない。というか、この人はちょっと大人すぎる。物心ついた頃には、もうショーン・コネリーもいい年だったし。やはりここは『エロイカより愛をこめて』のエーベルバッハ少佐につきるだろう。他にも『パタ…

平気で半世紀なわけですよ(4)

ジャック・ライアンにはなれなかったけど、資本主義社会というのは、お金さえあればなんだってできる。バブル期ならではの恵まれた収入を使い、民間ベースで公開されている各国国防情報(早い話がミリタリー情報誌だね)をせっせと集めていった。 「ぼくは政…

平気で半世紀なわけですよ(3)

そんなわけで区役所職員になったぼくだけど、この国にはもうひとつのスパイ絡み組織があり、他ならぬ区役所(職員)が監視対象になっていることを知ったのは、それからだ。 一般的な就職試験では、あらゆることが採否判定の材料になる。現役入学の体育会出身…

平気で半世紀なわけですよ(2)

スパイという仕事には、ちょっとだけ憧れたことがある。 厳密には、情報分析官。スパイ自身じゃなくて、スパイが持ってくる情報を分析する仕事だ。他国の軍事システムを推測、国家戦略に役立てるというこの仕事、正々堂々と軍事オタクを貫けるとても貴重な職…

平気で半世紀なわけですよ

BSをつけたら、『007ゴールドフィンガー』をやっていて、つい見入ってしまった。 公開は64年だから、すごいもの。ショーン・コネリーの若さ。悪役の陳腐さ。出てくる車の古さ。どれも時の流れを感じさせて、最高だ。それに作品内容にも遠慮がない。今のハリ…

デザインはスポーツか?(3)

デザインにどういうわけで興味を持ったのか。「魔法の正体を知ったから」ってとこだろうか。 子供の頃から、印刷物が好きだった。手で描いた線や塗りの、曖昧さだとかムラだとか、そういうのが嫌いだったのだ。文字もそう。「活字」のかちっとしたスタイルに…

デザインはスポーツか?(2)

デザインとゲームデザインの関係、ということを時々考える。 ゲームデザインというのは別名「企画職」で―より厳密には企画職の仕事に含まれる役割―で、そのことと美術的造形とは、直接は縁が無い。「design」という言葉を英和辞書でひくと、「1」で出てくる…

デザインはスポーツか?

最近、とても疲れている。 体はそれほどではなくて、主に「頭」だ。考える事とか書くこととか、かなり苦しくなっている。必要あって、先週後半からグラフィックデザインの連続だった。休日は一日中、平日も手すきの時間が見つかる限りフルで、印刷物のデザイ…