ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

無料ほど高価いものはない(3)

パソコンの特徴は、自由にある。 ぼくがパソコンを本格的に使い出した頃、この国には「専用ワープロ」というカテゴリーの商品があった。本体・ディスプレイとプリンタまでが一体化していて、パソコンで別々に組んだ場合に比べるとだんぜん安価に「日本語機械…

無料ほど高価いものはない(2)

便利なエバーノートだけど、大きな問題がある。 とりあえず言えるのは、UIだ。 手になじまない、というのだろうか。長く使っているのに、いまだにしっくり来ないのだ。アプリケーションをいちいちマニュアル読んでから使うやつなんていず、たいていはいじり…

無料ほど高価いものはない(1)

コンピュータの世界では、いつも誰かが何かを叫んでいる。 「なんちゃらの時代が、来るぞぉ~ッ!」 このなんちゃらは、来る場合もあるし、来ない場合もある。ただ、来る場合にしても、実際に使い物になるのは、とっくに叫び声がかき消えてしまってからだ。…

勇気を持って通せんぼ(終)

この「エスカレーターの追い越し列を通せんぼしよう」運動(仮称)。ぼく以外にも同じことを考えている人がいるようで、ときどきその実践活動に遭遇する。止まってしまった列についたとき、ぼくは先頭の人に向かって、心のなかで声をかけている。 「がんばれ…

イベント、無事終了!

ぼくは、「忙しくて忙しくて」のたぐいの愚痴をあまり言わない男だ。なぜなら、実際にそんなに忙しくないから。でもこの2週間ほどは、しょっちゅうその言葉が口からにじみ出てきていた。 その原因だった同人イベント「でじっくフェスタ」が、無事昨日開催で…

ただいま開催中

TwitterやFacebookの登場で大きく変わったのは、文章のリアルタイム性だ。新聞の報道では、どんなにがんばっても4時間ぐらいのタイムラグが生じる。印刷して配送して配達している間に、そのぐらい使ってしまうからだ。それがインターネットでは、ゼロ。とは…

勇気を持って通せんぼ(3)

エスカレーターの“追い越し車線”問題が悩ましい理由が、ひとつある。自分にできることがある、ということだ。 通常、社会運動の成功には、たいへんな労力を必要とする。昔、久米宏さん時代のニュースステーションで「世直しエイド」ってコーナーがあって、身…

勇気を持って通せんぼ(2)

機材へのダメージというのは、見た目にはわからない。でも、切実さとしては、こちらの方が上だろう。 現実に、エスカレーターの事故というのはしばしば起こっている。他ならぬ名古屋地下鉄の桜通線でも、突然の停止が原因で怪我人がたくさん出たという事故が…

勇気を持って通せんぼ(1)

地下鉄の長いエスカレーターに乗るたびに、悩むことがある。“追い越し車線”の存在だ。 急ぐ人のために片側を開ける、これはいつのまにか登場し普及したルールだ。高速道路のハザード点滅と同じで、こういう自然発生なルールというのは、法学部出としてなかな…

気分はクリティカル?

「クリティカル」という言葉、ゲーム愛好者なら当然「ヒット」と結びつくだろう。 よく使われるのはRPG。“ズバシュッ!”なんて気持ちいい効果音とともに画面がフラッシュ、同時に「クリティカルヒット!」のメッセージが出現する。通常の数倍のダメージを与…

奴隷じゃなくて「貴族」でしょ?(終)

ブログという言葉、本来はウェブの記録=WebLogから来ている。 「やあ、みんな。ボクはこの件について、こんな記事を見つけたぜ。 みんなもぜひ引用先をクリックして読んでごらんよ!」 この“ボク”が特定分野について詳しい人だと、そのお墨付きがある記事と…

奴隷じゃなくて「貴族」でしょ?(4)

今回、かなり熱くなっている。「社会の木鐸」なんて言葉があるけど、打ち鳴らすための木槌が自分の手の中にあることに気づいてしまったからだ。 前にも触れたように、今特許法の改正が進んでいる。 現行の特許法では、発明者になれるのは自然人だけで、法人…

奴隷じゃなくて「貴族」でしょ?(3)

既に著作権の後期授業が始まっていて、その中でこの件についても触れている。 意識の高い学生は、ちゃんと中村氏のことを知っていた。ただ、「会社からやめろと言われても続けた研究の成果なのだから」という、中村氏によって繰り返し語られていた軸の説明を…

奴隷じゃなくて「貴族」でしょ?(2)

で、中村氏の発明について考えてみよう。 そもそもなぜ特許をとれたのか。いうまでもない。クレームが優れていたからだ。青色LED自体は既に大学の先生たちが発明していたから、ふつうに出願しても拒絶されるだけ。それを「青色LEDを製造する実用的な方法」と…

奴隷じゃなくて「貴族」でしょ?(1)

ノーベル賞がらみの記事、早々に畳んでしまったけど、一点心残りな点があった。中村修二氏について、もっと書きたかったのだ。 ただ、それは結局特許そのものの話題ってことで記事量がどうしても膨大になってしまう。がまんしてたんだが、そしたら、ハフィン…

これも「さらば」になっちゃう?(終)

書きながら気がついたことがある。 前に書いた「豊かさの象徴」として「憧れの対象」になったマクドナルド。日本では70年前後の話だけど、国によってはもっと最近に同じ現象が起こっている。その好例がロシア。ソ連崩壊後に初めてマクドナルドが出店した時、…

これも「さらば」になっちゃう?(5)

まああれこれ書いてきたんだけど、当然これらは自分の経験に根ざした見解にすぎない。書いた姿勢が公正であることは誓えるけど、公平であるための努力は特にしていない。統計的な有意差を導けるような複数店舗を回ったわけじゃないし、測定可能な根拠を示せ…

これも「さらば」になっちゃう?(4)

「スラム感」をキーワードに書き続けてきた。でも、マクドナルドに立ち寄らなくなった最大の理由は、実はこれではない。店がなくなってしまったのだ。 名鉄神宮前駅から熱田神宮に向かって歩く道の最初の信号のところに、それはあった。いつからなのかは知ら…

これも「さらば」になっちゃう?(3)

ぼくは企画屋だ。これは、かなりマーケ屋的な側面を持っている。そしてティーチャーとしては、マーケティングという知恵の普及に努めてもいる。ただ、マーケ屋にも実業系と虚業系とがある。何かを作る(創る/造る)ためにマーケティングを活用しようとする…

これも「さらば」になっちゃう?(2)

今は「残念な食事処」の代名詞となってしまったマクドナルド。だが、かつて憧れの対象だった時期があったという。60年代、日本はまだ十分には豊かじゃなく、アメリカは過剰なほどに豊かだった。初上陸当時のマクドナルドは、その羨望すべき豊かさを象徴する…

「ほぼ」といいながら

3月の途中から始めたこのサイト、「ほぼ毎日更新」なんていいながらも、今のところ毎日更新を続けている。肩の力を抜きたくて追加した「ほぼ」の二文字なんだけど、「続けている」という事実自体が呪縛になって、なかなか一回休みを入れられない。 元々あま…

これも「さらば」になっちゃう?(1)

ノーベル賞記事で踊っている紙面の片隅に、「マクドナルドがついに赤字転落」なんてのがあった。 言われてみれば、確かにもう長いことお客として使っていない。かつては仕事帰りに立ち寄ったり、街に出た時に入ったりしたものだが。 マクドナルドを敬遠する…

まもなくノーベル週(終)

名古屋という中央から遠く離れた土地にいると、ここで話題になっている現象が、ローカルな話題なのか全日本的な話題なのか、悩むことがしばしばある。今回のノーベル物理学賞、共同受賞の3人中2人までが名古屋人という事情もあり、かなりの盛り上がりだ。 こ…

まもなくノーベル週(5)

書き始めた当初は「まもなく」だったノーベル週、続々と発表されている現在では「たけなわ」になっている。しかも、なんと今年は物理学賞を日本の研究者が受賞した。 考えて見れば、青色LEDというのは世紀の大発明で、人類社会への恩恵ときたら『ジャイアン…

まもなくノーベル週(4)

ぼくぐらいの世代(以上)の日本人が、ノーベル平和賞について冷ややかになれる事情。これは、佐藤栄作氏の授賞というのが、とても大きい。若い世代にとっては歴史上の人物(しかもそれほど太文字ではない)に過ぎないこの人は何者なのかというと、昔の自民…

まもなくノーベル週(3)

まあありえないからネタになるんだが、それでも「もし」ということは思う。 もし「日本人」なんてのがノーベル平和賞の対象になるとしたら、どういう向きが反発してくるだろうか。当然想像されるのは隣国人だけど、その辺をからかって書いたりすると、ネット…

まもなくノーベル週(2)

賞がしっくりくるための条件。それは、格付けと受賞者との間にちょうどいいバランスが存在することだ。具体的には、受賞によって名が高まる人が受賞するということになる。例えばぼくが突然「山田ゲーム賞」なんてのを作ったとする。この受賞者としてしっく…

まもなくノーベル週(1)

来週は、ノーベル賞の発表がある。 特に嫌っているわけではないけど、毎回の大騒ぎがどうも気に入らないし、受賞者でも出た日にはもう馬鹿騒ぎとしか言いようがなくって、結果的にかなり嫌いだ。 今回、どうしようもなく違和感のあるニュースが飛び込んでき…

左側で行こうよ

江戸時代の人は左側を歩いたという。右側を歩くと、刀の鞘がぶつかりやすくて、社会的に危険だからだそうだ。すれ違いざまに抜き打ちなんてこともやりづらいから、セキュリティ的にもその方がいいんだろう。 となれば、馬だって左側を通ったんだと思う。明治…

ただ今撮りだめ中

工学院のゲーム/CGコースでは、9月は実習に専念する月で、学生どうしでそれぞれにチームを組んで短期のオリジナルゲーム制作に取り組むことになる。こうなると企画屋であるティーチャーには、ヒュプノシスに魅入られた学生をこちら側に連れ戻す(叩き起こす…