ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ソトメシ十番勝負(5)

食事をエンターテインメントとしてとらえた場合、大きな問題点を共通で抱えている。おなかがいっぱいになったら終わり、ということだ。 この意味で、チーズナンは弱い。売られている単位が、大きいからだ。また、それ単品では頼みにくいということもある。イ…

ソトメシ十番勝負(4)

ナンとの出会いは、二子玉川にあった『モティ』というインド料理店でのことだ。ちょうどバブル真っ盛りの頃だったと思う。ショッピングセンターの一角にあるガーデン式の店だった。その頃は、はっきり言って「ナン」という名前すらよく知らなくて、最初のオ…

ソトメシ十番勝負(3)

ナンという食べ物は、それ自体悪くない。 まず、形状がなんともいえず楽しい。たいていの平面形は幾何学図形のどれかで言い表せるものだけど、ナンのは単純じゃない。丸と楕円と三角を合わせたような、とでもいうんだろうか。たとえを使うのなら、いちばん近…

ソトメシ十番勝負(2)

人生初のチーズ…なんてものを覚えてるわけないんだが、まあ物心ついた頃からチーズというのはあり、当然のように、塩辛くて冷たいものだった。円弧形だったり、棒状だったり、消しゴム型だったりとやたらと形はあるものの、味的にはどれも大差なく、「ま、チ…

ソトメシ十番勝負(1)

ぼくはあまり外食をしない方だ。勤務先での昼ごはんもお弁当持参で、休日に昼をまたいだ外出をするとき程度。料理というのは文化的作品で、ソトメシはそれを“鑑賞”する場。そう考えると、これも経験獲得の貴重な機会だ。だけど何か気に入ったものがあると、…

どっちをとってもアウト

残業した後の帰宅時間、地下鉄の中で爆睡している女の子がいた。制服を着た中学生で、背格好からみてたぶん1年生なのだろう。 問題は、この爆睡の姿だ。大の字……いや、両腕は真下に垂れていたから、人の字かな、そういう無防備な状態で、通勤電車のロングシ…

BCR、ウィーラブユー!(終)

シリーズ最後の話は、ベイシティ・ローラーズに戻ってみよう。 結局、ぼくはベイシティ・ローラーズ的なあり方が、好きだったんだと思う。歌い上げる世界には深みはないかもしれないし、社会的・政治的なメッセージ性も皆無だ。だけど、それと価値の有無とは…

BCR、ウィーラブユー!(7)

先述のように、ぼくにとって最終的に残ったのは、クイーンだ。保有CDということでも、コンプリートまであと3枚と迫っている。 こうなったのは、FMで聴いた『フェリーフェラーの神技』がきっかけだ。アルバムでいえば『Queen2』。A/B面と言わずして、ホワイ…

BCR、ウィーラブユー!(6)

挿話ばかりが長くなってしまった。 iTuneストアで発見してからどうしたか。つまらない時代とはいうものの、便利な時代とも言える。とりあえず試聴してみた。 だけど、聴いてみると、どうも違う。記憶に刻み込まれているレスリーの歌声と、違っているのだ。そ…

BCR、ウィーラブユー!(5)

ホウキ持ってエアギターっていう構図は、『20世紀少年』のケンヂ君と同じだ。でも、大きく違う点がある。ぼくたちは、純粋に楽しみだけでやってたってことだ。ケンヂ君の場合は、学校当局ひいては社会全体に対する反抗という要素がある。 このことは、ほんの…

BCR、ウィーラブユー!(4)

書いてから、時制がちょっと混乱してることに気づいた。レイジーの登場はベイシティ・ローラーズに重なるけど、ファイヤーやスロッグはその後だね。レイジーの成功を前に、実際にバンドやってる連中を事務所が掘り出してデビューさせたとか、そんな感じがす…

BCR、ウィーラブユー!(3)

あの頃の日本の芸能界には、海外で何かがウケると、すぐその日本版を作りたがる傾向があった。前に指摘したような準中華思想じゃなくって、単に手っ取り早く儲けるための知恵だ。 ベイシティ・ローラーズのときも、もちろん「和製」が作られた。その名も「レ…

BCR、ウィーラブユー!(2)

ベイシティ・ローラーズの代表曲といえば、先述のとおり『サタデーナイト』。歌自体が今でもCMソングなんかで現役だ。あのおかげでサタデーの綴りを間違えずに済むのは、今の中学生だって同じだろう。そしてぼくはとえいば、あのへんの歌が新譜だった頃に中…

BCR、ウィーラブユー!(1)

突然、ベイシティ・ローラーズが聴きたくなった。 こんな名前を挙げても、分かる人は同年代限定だろう。でも、曲で言えばたぶんほとんどの日本人が知っている。代表作は、サタデーナイト。S,A,TUR,DAY……なんて歌いだしの、ノリのいい曲だ。 「聴きたいッ!」…

あいかわらず走ってる(終)

実はレースデビューは3月の名古屋シティマラソンってわけじゃない。今月の終わり、大府の「あいち健康の森」で開かれる、『さわやかリレーマラソン』がある。といっても、リレーマラソンにでるわけじゃなくて、ついでにやる“ファミリー&エンジョイラン”って…

あいかわらず走ってる(5)

群ということだと、ちょっと切ない経験をしたことがある。 2年ぐらい前のこと、走り場を求めていたぼくは、名古屋近郊にある「愛・地球博記念公園」に向けて車を走らせた。あれだけの広い公園だから、さぞかしいいランニングコースがあるだろうと思ったのだ…

止まらない!

今日は一日中、くしゃみが止まらなかった。 鼻に何かが引っかかると、くしゃみが出る。そういう系統のくしゃみだ。チェックしてみると、確かに傷ついているような場所があり、そこが刺激された拍子にくしゃみが出てしまう。 問題は、この刺激が決して終わり…

あいかわらず走ってる(4)

ランナーにとって、他のランナーの存在は重要だ。別に競い合いたいからじゃない。単に、群れたいのだ。 ランニングってのは、はっきり言って“ヘンなこと”だ。ぴっちりしたタイツとか短パンとか穿いて、ハアハア息を吐き汗もかきながら、わざわざ自分で自分を…

あいかわらず走ってる(3)

ランニングが楽しめる街、そんな住処の選び方ってのも、ありじゃないかと思う。 まず、気持ちいいコースがとれること。信号が少なく、適度に緑があって、ある程度広い歩道が欲しい。できれば平坦で。そして平滑で。やたらと坂があると心理的にもきついし、で…

あいかわらず走ってる(2)

今の場所に越してから、季節が2回変わった。こうなると、お決まりのランニングコースも確立されてくる。 丘の上にある自宅から、大きく回りながら高度を下げ、川に。後は川沿いを少し登ってから反対側を下り、適当なところで折り返す。最後は坂を登って自宅…

あいかわらず走ってる(1)

名古屋シティマラソンへの出場が決まった。 マラソン出場を志してからというもの、東京マラソンに京都マラソンと、エントリーでの落選が2回続いてしまっていた。「リタイアすらできない負け」にかなり苛立っていて、名古屋まで落としてしまったら、もう当分…

『響』はもっとうまいよ(終)

つい話を大きくしてしまった。 今回のシリーズも前回同様、毎日新しい分を書いている。手元の“着想ノート”には、あれこれと展開していくためのネタが走り書きしてあるんだけど、「中華思想」から「マーケティング」に至るまで、いろんなことが書き連ねられて…

『響』はもっとうまいよ(3)

日本人が何でも「国産」を作りたがる理由、それは江戸時代以来の伝統的世界観に根ざしているんじゃないだろうかと、ぼくは見る。 具体的には、「日本」と「世界」を対置したがるということだ。いうまでもなく、世界には日本も含まれている。なのに、そのよう…

『響』はもっとうまいよ(2)

日本人がなぜウィスキーを作るんだろうか。 まあ、サントリーが最初の国産ウィスキーを出したのが昭和一桁の頃だから、現代人のほぼ全員にとって「物心ついた時からそうだった」状態ってことで、いまさら「なぜ」もないものだ。ただ、改めて考えると、そんな…

『響』はもっとうまいよ(1)

先日相次いで報道されたことだけど、英国のウィスキーガイド本で、サントリーの『山崎』がナンバーワンに選ばれた。 物書きはものごとをハスに構えて考えるのが仕事だし、ソフト屋は世界を数理的に理解するのが仕事だ。ぼくは両要素を兼ね備えている企画のゲ…

無料ほど高価いものはない(終)

情報を処理することのキモは、規格の統一にある。 これはコンピュータ登場の前から言えることだ。だいぶ前に軽く紹介した梅棹忠夫『知的生産の技術』はそういうノウハウを体験的に紹介する本だったし、会社や役所が使っている帳票の類も、それが直接的目的だ…

無料ほど高価いものはない(7)

今、アプリケーションは、無料であることが前提になってしまっている。直接的には、インターネットそのものがもたらした現象だといえるだろう。高度な情報サービスが無償化されてしまったことへの対応として始まり、やがてその独自の可能性が発見されること…

無料ほど高価いものはない(6)

今ぼくがエバーノートに対して感じているのは、困惑だ。 そのシステムに対して、ユーザーとしての高い満足感を感じているのは事実だ。サーバーの存在を意識することなくどんな環境でも同じように文書の作成ができてしまうことは、「ふつうがいちばん凄い」を…

無料ほど高価いものはない(5)

ただこの自由、皮肉なことに、パソコンが最も普及度を上げた時期に、消滅しかけてしまった。Windows95あたりに始まる、怒涛の10年間だ。 3.0でWindowsの時代が始まった頃、ワープロを中心とした日本のビジネスソフトは、各社がそれぞれに個性を持った製品で…

無料ほど高価いものはない(4)

というわけで、パソコンの特徴は自由にある。 シャープの馬鹿げた企みに反旗を翻すことは簡単だ。自分でパソコンを買えばいいのだ。それでもう、くだらないソフトに付き合う必要はない。役所中が「蟻が十ございました」にイラ立たされている中、ぼくは持ち込…