ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ただの引っ越しじゃ終わらない

この「はてな」にブログを移したのが、4月のこと。1ヶ月を超えた実に中途半端なタイミングで、前のをリセットした。終わりといえば終わりなんだけど、実際にはほんの手始めみたいなものだ。 現在、新しいページの開設を準備している。リセットしたばかりの前…

草野翠に加瀬薫(終)

今の学生はどうなんだろうか。 再入学した大学の方で、同級生の多くが校歌に対して冷淡だった理由、一つ思い当たることがある。というのも、みんな負け組意識を持っていたからだ。 受験組が大半だった頃の日本の大学は、「ほんとは××に入りたかったけど、落…

草野翠に加瀬薫(4)

「母校」という言葉の定義、ぼくにとって、その基準は、校歌を歌いたくなるかどうかってとこだろうか。単にそこを卒業すれば母校ってわけじゃない。 実際こういう記事を書いていると、卒業した高校のことを、思い出したくもないのに思い出す。ここはゴミ溜め…

草野翠に加瀬薫(3)

実のところ、ぼくが校歌を憶えたのは、それを歌いたかったからだ。そしてその理由は簡単。入った大学が大好きだったからだ。 念願かなって入れた「首都圏のメジャー大学」だった。早稲田ではない。でも、早稲田に遠慮する必要もないぐらいのとこではある。そ…

草野翠に加瀬薫(2)

なんであの頃そうだったんだろうか。 まず言えるのが、自分たちの少し前にいたシラケ世代の影響だ。大人たちが決めたものや、前の時代から受け継がれているものを冷ややかに見送り、興奮すべき時には冷めて見せ、冷めるべき時にはやっぱり冷めている、そんな…

草野翠に加瀬薫(1)

ときどきわけもなく歌いたくなる歌がある。大学の校歌だ。「わけもなく」だから、場所だって選ばない。公園をとぼとぼ歩いているときとか、夜の帰宅途中とか、朗らかに口ずさんだりする。車の中でも、よく歌う。ドラレコにも録音されてるわけで、まあ事故と…

深まりゆくiの生活(終)

ある意味、ぼく自身が、AppleやAdobeにとっては、切り捨てるべき「レガシー」なのだろう。メーカーが想定しているユーザーは、言われた範囲内でデフォルトを変えずにアプリを使うような連中だ。従順かつ模範的で、過去のやり方なんて知らない。 ぼくは、自分…

深まりゆくiの生活(4)

実はiPad Proにに先立ち、重大な買い物をしている。AdobeCCだ。 きっかけは、仕事で納期的に追いつめられたときだった。しなければならない文書デザインがあるのに、そのための時間がとれない。そんなとき、AdobeがiOS用にCCソフトを出していることを知り、…

深まりゆくiの生活(3)

さて、iPad Pro。「うんにゃらPRO」という名前の商品、この世界では結構多い。ただ、およそプロ用とも思えないようなものも少なくない。 iPadに「Pro」が出ると聞いて、最初に感じたのが戸惑いだった。 Appleの場合、単に「性能が(値段も)高い」の記号とし…

深まりゆくiの生活(2)

わざわざ事前予約で購入なんてするくらいだから、思いはいっぱい詰まっている。なんでそっちの話題にしなかったのか。 一言で言えば、廉恥心だろう。発売当日ったって、それが重大事件であるのは、ぼくだけの話。同じ日に手にする人は日本中に何万人もいるわ…

深まりゆくiの生活(1)

このブログの第2シーズンが始まったのは4月1日。そしてその前日、ぼくはiPadを買っている。もちろんプロ9.7インチだ。iPadとしては2台め。そしてこれまでに3種類のiPodに2台のiPhoneを使ってきているから(一部現役)、7つめのiってことになる。 アップルト…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(終)

間を空けながら書いているうちに、気づいたら4月も後半になってしまった。 いよいよ今年度のゲームデザインの授業が始まる。十数年の教員(&講師)生活の中、ただの一度も欠かさなかったのが、これだ。そして、少し遅れて、有志のみを対象にした企画ゼミも…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(9)

簡易なゲーム開発環境そのものは、昔からある。独立したばかりの頃のぼくがはまったのがそういうソフトの一つ、DIRECTORだった。より一般的には遅れて登場したFLASHの方だろう。インターネット環境での動作が前提となる分使いづらい面はあったが、何しろ安価…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(8)

さて、以上のべてきた「ゲームデザイナー論」は、一つの前提の上に成り立っている。「ゲーム会社で仕事をする」ということだ。 ファミコンの登場からほんの2・3年前に至るまで、ゲームデザイナーになるためにはゲーム会社で仕事しなければならないというのは…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(7)

一方、スケジュール管理は、もっと「勉強して理解しておくこと」の比率が多いとも言える。 まず工程が把握できていないと絶対にできない。ガントチャートは、ジョブを小分けにして項目化するところから始まるわけで、作業の全体が理解できていなければ書ける…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(6)

というわけで、読み書き、聞き話す、そういうスキル。そして、ガントチャートを描くということ。さしあたりはこういうことができないといけないわけだ。 とはいえ、以上は第一階層にすぎない。「……を実現するためには何が必要か」の問いという形で、すぐ裏の…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(5)

話を戻そう。ゲームデザイナーの仕事を、提案者と管理者という2つのモードで考える。これが、ぼくのやり方だ。そしてこのように理解することで、志望者が身に付けるべきスキルも、明確に定めていくことができる。 提案者は、何よりも話せなければならない。…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(4)

ここで1つ確認しておこう。デザインは、プロセスだと言うことだ。 少なからぬ人が勘違いをしているのだが、デザインというのは「卓越した個人による芸術的な創作活動」ではない。もちろんそういう要素はあるのだけど、あくまでも要素にすぎない。本質は、プ…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(3)

この仕事に求められる要素は何か。 ぼくは2つの立場で説いている。提案者、そして管理者だ。 ゲームデザイナーは、ゲームを構想する。つまりは「面白い」を考えると言うことだ。沈黙したままで考えていても仕方がない。人に話さなくちゃいけない。だから考案…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(2)

ゲームデザインとは、ゲームのデザインのことを言う。 デザイン=設計。このことは、知っておいたほうがいい。ためしに英語の辞書でdesignを引いてみると、①で書いてある意味はこれだ。 ただ、小説を書くという行為がパソコンのキーボードを打つことだけで成…

ゲームほど素敵な仕事はないッ!(1)

ゲームデザインを教えて何年か、もう数えるのもめんどくさいことになってしまった。 ただ、同業者=ゲームデザインを担当しているティーチャーの中では、かなりの古参であることは確かだ。初めて学生の前に立った時、扱ってたプラットフォームはスーパーファ…

シーズン1終了ってことになるのかな

長く続けてきた当ブログですが、今日−2016年1月11日をもって、しばらくお休みすることにしました。現時点では、新年度の再開を考えています。ただ、同じような内容を続けるのか、それともぜんぜん違うコンセプトで仕切りなおすのか、そのへんは決めていませ…

中途半端に年末

大晦日になってしまった。 前の記事に番号があることからも解るように、続きを書いている。書きまとまらないまま、気づいたら大晦日になってしまった。 実は、ちょっと前(っても夏休みの頃だけど)から、考えていたことがある。ここまで2年間書き散らかし…

せんとくんの時もそうだった(1)

「流行は醜悪だ。だから、新しくなる」 なんて言葉を残したのは、バーナード・ショウだったか。「デザイン性を追求」をしていくと、だいたい気持ち悪くなる。市民から出てくるそんな本音を封殺する言葉として、供給する側はいつもこんな殺し文句を用意してき…

続・何もしないをしたいとき

前回の記事から1週間経った。そこでは「展示パネルの作成」について書いたのだけど、この土日はその出番にあたるイベント当日だった。ようやくこれも終わり、閉会後の会場から家に帰る途中、立ち寄ったカフェでこの文章を書いている。 ゲームの発売というの…

何もしないをしたいとき

この10日間ほど、ひとつの作業に熱中していた。展示用パネルの制作。デザインだけじゃなく、文章や図版の作成も一緒だ。 明けても暮れても…なんて慣用句があるけど、ほんとにそうだったのだ。だいたいぼくは、5時台に目覚める。そしたら、そのまま書斎机に直…

ウインダム、出ろ!

バブルの頃、都内ホテルにステイなんてのが、流行ったことがある。東京に自宅があるのに、あえて都内の“おしゃれなホテル”に滞在して、“リッチな気分”を味わうというものだ。赤坂プリンスなんてのは、そのために建てられたようなもので、ゆえに役割を終えて…

昔は泣き喚いたものだけどね(終)

それでも、ときどき思う。全てを失うことも、時には必要なのかも知れないと。 人は忘れる。忘れるから、生きていける。もし全ての経験を、リアルタイムな出来事と変わらないレベルで克明に憶えているとしたら、とても生きていけないだろう。最近、歳のせいか…

昔は泣き喚いたものだけどね(5)

テキストファイルというのは、永遠だ。 長くPCを使っていて、今でも最初の頃に作ったファイルがハードディスクに残っていたりする。いちばん古いのは、80年代製になる。 当時のパソコン界では、ワープロソフト『一太郎』が一世を風靡していた。ぼくが本格的…

昔は泣き喚いたものだけどね(4)

そもそも、なぜファイルを上書きしなくちゃならないんだろうか。 パソコンは、そういう仕組みになっている。でも、テキストファイルなんて、本当は消さなくてもいいのだ。ひたすら追加し続けるような仕組みでも構わない。 むかしむかしのコンピューティング…