ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ゲ的生産の技術

深まりゆくiの生活(終)

ある意味、ぼく自身が、AppleやAdobeにとっては、切り捨てるべき「レガシー」なのだろう。メーカーが想定しているユーザーは、言われた範囲内でデフォルトを変えずにアプリを使うような連中だ。従順かつ模範的で、過去のやり方なんて知らない。 ぼくは、自分…

深まりゆくiの生活(4)

実はiPad Proにに先立ち、重大な買い物をしている。AdobeCCだ。 きっかけは、仕事で納期的に追いつめられたときだった。しなければならない文書デザインがあるのに、そのための時間がとれない。そんなとき、AdobeがiOS用にCCソフトを出していることを知り、…

深まりゆくiの生活(3)

さて、iPad Pro。「うんにゃらPRO」という名前の商品、この世界では結構多い。ただ、およそプロ用とも思えないようなものも少なくない。 iPadに「Pro」が出ると聞いて、最初に感じたのが戸惑いだった。 Appleの場合、単に「性能が(値段も)高い」の記号とし…

深まりゆくiの生活(2)

わざわざ事前予約で購入なんてするくらいだから、思いはいっぱい詰まっている。なんでそっちの話題にしなかったのか。 一言で言えば、廉恥心だろう。発売当日ったって、それが重大事件であるのは、ぼくだけの話。同じ日に手にする人は日本中に何万人もいるわ…

深まりゆくiの生活(1)

このブログの第2シーズンが始まったのは4月1日。そしてその前日、ぼくはiPadを買っている。もちろんプロ9.7インチだ。iPadとしては2台め。そしてこれまでに3種類のiPodに2台のiPhoneを使ってきているから(一部現役)、7つめのiってことになる。 アップルト…

昔は泣き喚いたものだけどね(終)

それでも、ときどき思う。全てを失うことも、時には必要なのかも知れないと。 人は忘れる。忘れるから、生きていける。もし全ての経験を、リアルタイムな出来事と変わらないレベルで克明に憶えているとしたら、とても生きていけないだろう。最近、歳のせいか…

昔は泣き喚いたものだけどね(5)

テキストファイルというのは、永遠だ。 長くPCを使っていて、今でも最初の頃に作ったファイルがハードディスクに残っていたりする。いちばん古いのは、80年代製になる。 当時のパソコン界では、ワープロソフト『一太郎』が一世を風靡していた。ぼくが本格的…

昔は泣き喚いたものだけどね(4)

そもそも、なぜファイルを上書きしなくちゃならないんだろうか。 パソコンは、そういう仕組みになっている。でも、テキストファイルなんて、本当は消さなくてもいいのだ。ひたすら追加し続けるような仕組みでも構わない。 むかしむかしのコンピューティング…

昔は泣き喚いたものだけどね(3)

ファイル消滅に気づいたのは、職場PCだった。その時点で、持ち歩いてたノートPCも既に同期済みだった。最後の砦が、自宅マシン。帰宅後、すぐに無線LANルータのスイッチを切り、恐る恐る起動してみたのだ。 でも、実際には最新のファイルは戻らなくて、1ヶ月…

昔は泣き喚いたものだけどね(2)

クラウドサービスが登場する以前、ファイルの同期というのは、PC運用の一大テーマだった。 あの時代、多くのPCユーザーは、ノートPCとデスクトップ機の2台体制だった。パフォーマンス的には後者のほうがいいから、自宅ではそっちを使いたい。でも、そうなる…

昔は泣き喚いたものだけどね(1)

このブログのために作っている原稿用ファイルがある。 これは、まるで糠床のような代物だ。ブログにしたいことがあったら、ここに突っ込んでおく。一方で、脈絡もなく思いついたこととか気づいたこととかも、突っ込んでおく。やがて、そうした細かな断片を集…

パラレるッ!(1)

先日、『Parallels Desktop』を11にアップグレードした。 これは、Mac上で他のOSを使うためのソフト。カテゴリー的には「仮想マシン」ソフトとなるらしい(Wikipediaがそうしていた)。これをインストールすると、Mac上に仮想マシンが出現し、そこに他のOSを…

一日にしてならぬもの(終)

池澤夏樹さんの個人全集だけど、今は『日本文学全集』も、始まっている。これを機に続けてみようなんて気もないわけじゃない。ただ、前のシリーズについて、ひとつどうしても気に入らない点があり、それが新シリーズへの思いをスポイルしてる。 それは、装丁…

一日にしてならぬもの(3)

『ローマ人の物語』は、全15巻となっている。先述の通り残り2巻というところまできたわけだけど、実は買った本はもっと多い。都合3冊ほど、間違えて被って買ってしまっているからだ。数という視点では、既にコンプリートを超えていることになる。 本棚の重石…

一日にしてならぬもの(2)

今回、コンプリート(まだしてないけど)への原動力になったのは、美観だ。 最近、本棚の美しさということを、考えるようになった。 元々ぼくの書棚には、文庫や新書が多かった。この頃は、美しさなんてそんなに考える必要もない。同じ版元なら、装丁も共通…

一日にしてならぬもの(1)

塩野七生さん『ローマ人の物語』が、コンプリートを迎えようとしている。 もちろん、本の刊行はとっくに終わっている。コンプリートってのは、あくまでもぼくの本棚の問題だ。初回配本のを初版で買って以来十数年(もっとか?)、断続的に着々と買い進めてい…

最新という憂鬱(7)

気づいたら、だいぶ違う傾向の話になってしまっていた。愚痴りたかったのは、20年も前のWindows体験のことじゃなくて、次のような愚痴なのだ。 「新しいパソコンにときめかない……」 パソコンそのものが成熟したということだろうか。昔は、新型であれば、全く…

最新という憂鬱(6)

実際にWindowsが普及し始めたのは、この後のバージョン3.1からになる。見た目とか使い勝手とかは3.0と基本的に変わらないものの、動作が格段に安定した。何しろ、確実に毎回起動するんだからね。さらに、軽くなった。バージョンアップにともなってマシンスペ…

最新という憂鬱(5)

その新生活には、幸せが待っていたのか。そんなはずないことは、3.0時代のWindowsを知ってる人ならわかるよね。Windowsと同時に購入した結果、386GSは、ぼくにとって忘れ得ぬマシンとなったのだ。 一言で言えば、「貢いでも貢いでも決して満足しない、ボディ…

最新という憂鬱(4)

なんでハイレゾを求めていたのかというと、Windowsの存在だ。 当時、日本よりも何かと先行していたアメリカ市場で、DOSマシンをGUI環境に変えるOSとしてMS-Windows3.0が登場、たちまち主流となっていた。そのあたりの事情が雑誌で伝えられ、「さあ、これから…

最新という憂鬱(3)

これまで何台のパソコンを使ってきただろうか。数えようと思って、やめた。「今まで食ったパンの枚数」と同じだね。「パソコンを使う」という行為は、今や当たり前。もう、そんなこと覚えてられるほど、新鮮じゃない。 でも、印象的だったマシンというのはあ…

最新という憂鬱(2)

戸惑いの原因は何か。実は、画面の細かさにある。 2560×1440ドット。こんなとんでもない画素数が、11インチの液晶スクリーンにつまっているのだ。これまで、ノートPCのディスプレイなんて、横1280ドットが相場だった。画面サイズは同程度なのに、画素数は実…

最新という憂鬱(1)

職場で使うパソコンが、更新になった。で、かなり戸惑っている。 とある事情から、勤務校でのティーチャー用パソコンは、だいたい2年に1回のペースで更新される。なので「違うマシン」への乗り換え自体は、そんなに珍しいことじゃない。めんどくさいだけ、難…

創作空間としてのマクド(2)

マクドナルドが創作空間として使える理由を、いくつか挙げてみよう。 まず安いこと。ランチを食べようとするから千円札が消えてしまうんであって、カフェ代わりに使う分には、とても安上がりだ。実際、今回ぼくのあごを湿らせたカフェオレは、200円で間に合…

創作空間としてのマクド(1)

週末のふとした空き時間、読んだり書いたりで使いたいとき、ぼくはカフェに行く。 やはり基本は、スターバックスだ。持ちこむツールは、MacbookAir。そしてカフェラテの湯気であごを湿らせながら、足くんで文章を書く……とまあ、そういう時間の過ごし方をよく…

無料ほど高価いものはない(終)

情報を処理することのキモは、規格の統一にある。 これはコンピュータ登場の前から言えることだ。だいぶ前に軽く紹介した梅棹忠夫『知的生産の技術』はそういうノウハウを体験的に紹介する本だったし、会社や役所が使っている帳票の類も、それが直接的目的だ…

無料ほど高価いものはない(7)

今、アプリケーションは、無料であることが前提になってしまっている。直接的には、インターネットそのものがもたらした現象だといえるだろう。高度な情報サービスが無償化されてしまったことへの対応として始まり、やがてその独自の可能性が発見されること…

無料ほど高価いものはない(6)

今ぼくがエバーノートに対して感じているのは、困惑だ。 そのシステムに対して、ユーザーとしての高い満足感を感じているのは事実だ。サーバーの存在を意識することなくどんな環境でも同じように文書の作成ができてしまうことは、「ふつうがいちばん凄い」を…

無料ほど高価いものはない(5)

ただこの自由、皮肉なことに、パソコンが最も普及度を上げた時期に、消滅しかけてしまった。Windows95あたりに始まる、怒涛の10年間だ。 3.0でWindowsの時代が始まった頃、ワープロを中心とした日本のビジネスソフトは、各社がそれぞれに個性を持った製品で…

無料ほど高価いものはない(4)

というわけで、パソコンの特徴は自由にある。 シャープの馬鹿げた企みに反旗を翻すことは簡単だ。自分でパソコンを買えばいいのだ。それでもう、くだらないソフトに付き合う必要はない。役所中が「蟻が十ございました」にイラ立たされている中、ぼくは持ち込…