ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

Kindleの話(2)

 ではKindleの何がそんなにすごいのか。

 いい点はいろいろあるが「人生の損失」とまで言い切れるのは実はひとつ。「早く読める」からである。

 親指以外の指で裏側を支えての片手持ち、これが基本スタイルだろう。文庫や新書を読む時と、基本は変わらない。違うのは、親指をページスライドに使うか、画面タッチに使うかという点だけ。違いというほどの違いはないと、使いはじめるまでは思っていた。だが、決定的に違っていた。Kindleの場合だと、圧倒的な速度で読み進めていくことができるのだ。おそらく「速読術」に近い水準ではないだろうか。ただ、そちらが特殊な訓練を要するのに対し、Kindleのは手にするだけだ。

 そして、環境面での充実によって、この速読み機能はブーストアップされる。

 ひとつ、端末を選ばないということ。ぼくがふだん持ち歩いているのはKindleペーパーホワイトだが、iPadでも続きを読むことができる。その時手元にある端末でOKなのだ。

 ふたつ、読む場所も選ばない。Kindle自体が軽く、ポケットにも簡単に収まる。電車の中でも読めるが、降りて歩きながらでも読めるのだ(あまり良いことではないが)。画面は自然なバックライトだから、夜道を読みながら歩くこともできる(同じく良いことではないが。なお、足元が不安になったら下に向けると懐中電灯代わりにもなる)。

 みっつ、Amazonとのつながりがシームレスだということ。インターネット接続環境下なら、ローカルとネットはほとんど区別する必要がない。書籍は試し読みができ、気に入ったらそのまま購入手続きをすればいい。続きのページから何事もなかったかのように読み続けることができる。