「国民の映画」観てきた
“映画”といっても映画ではない。三谷さん作の舞台劇だ。昨日(2014年3月23日)、刈谷市文化センターで上演されたものを観ることができた。
主人公は、ナチス最高幹部の一人、宣伝大臣ゲッベルス。彼の自宅広間だけを舞台に、そこに集まった映画関係者やナチス党内のライバルたちを描きながら、物語は展開する。くだくだとぼくが書くよりは、ここを見てもらったほうが早い。
三谷劇だから、笑いに満ちている。そして歌や踊りも。ナチスを描いている以上それだけで済ますことはできないのだが、ナチスだからといって笑えないドラマにしかできないのなら、それはむしろ負けだ。三谷さんに拍手。とにかく面白かった。もしぼくが若者の頃こういう劇と出会っていたなら、全てに優先させて演劇の道を志しただろう。こんな面白い劇を、超一流のキャストとともに名古屋地区にまで送り出してくれたことにも、三谷さんに感謝。
で、関連してひとつ思うことが。ぼくは元々あのあたりの歴史にかなり詳しくて、ゲッベルスやゲーリングはもちろん、リーフェンシュタールとかも含め、劇に出てきた名前をよく知っている。ただ、「そういう名前がわかる」というだけで、もう戦争大好き人間であるかのように扱われてしまうことがある。でも、こういう作品があるとだいじょうぶ。「ほら、あの段田安則さんがやってた役ですよ、カイガラムシの命を大切にしてた人」というように、危険人物視されるリスクをおかすことなく、言及することができる。平和教原理主義者が幅を利かせてるこの国では、こういう作品の価値はとても高いのだ。