ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

クレジットカードクロニクル(4)

 クレジットカードのわかりづらさは、会社名が複数出てくるところにある。

 例えばセゾンカードを作ると、VISAやマスターカードといったよく聞く名前を「国際ブランド」として別途選ぶようになっている。一方、そのセゾン自身が、他のカードにとってのブランドになっていたりする。TOHOシネマでカードを作ると、マスターまたはアメックスのマークの他に、セゾンカードのマークが、券面にくっつくことになる。

 これは、カード会社の種類を理解しておくとわかりやすい。ひとつはブランドを持ち、盛んなPRや付帯サービスを通じてその存在感アップをはかっている会社で、「ブランドホルダー」という。VISAやマスターカードが代表格だ。もう一つは、顧客の申し込みに応じて実際にカードを発行する会社で、「イシュアー」という。さらにもうひとつ、「アクワイアラー」と言って、新規開拓から代金の支払いまでの加盟店管理をするところもある。

 ゲーム会社にも、階層構造はある。ブランドを保有してゲームソフトの販売元となる会社「パブリッシャー」と、パブリッシャーから制作費を受け取って実際にゲームの開発をする会社「デベロッパー」だ。

 ポジションが必ずしも固定じゃない点も、似ている。大手ゲーム会社はパブリッシャー兼デベロッパーで、ブランドを持ちながら、社内にも開発部門を持ち、インハウスでの制作も行っている。ブランドホルダーも、VISA/マスター以外の各社は、イシュアーとして直接ユーザーと契約している(そういうカードをプロパーカードっていう)。

 クレジットカード業界にあてはめると、デベロッパーはアクワイアラーに近いかもしれない。お金を稼ぐための地道な現場仕事を担当しているということになる。で、パブリッシャーがイシュアーになるのだろう。顧客に向けて広告を打ったりキャンペーンを展開したりするし、直接支払いを受けるのもここだ。となると、ブランドホルダーの立場は、プラットフォームメーカーということだろうか。

 まあゲーム産業との類推は、説明というよりは単なる複雑化になりかねないので、このへんにしておく。実際のシステムは、他に詳しいサイトがあるので、説明省略。少なくとも、イシュアーとかアクワイアラーとかいう単語さえわかっていれば、あとはグーグルでしらべればいい。