ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

クレジットカードクロニクル(7)

 ゴールドカードは装飾品だ。それが綺麗だと思えば持てばいいし、同じ持つのなら、自分が好きになれる物を選べばいい。一つのカードを使い倒すのもいいけど、コレクションするのだって、本人の好みだ。

 もちろんカードではあるわけだし、レギュラーカードにはない特典もある。ダイナースの場合、だいたい次のようになる。

  1.空港のラウンジが無料で使える(海外もOK)

  2.旅行保険が付帯している

  3.限度額が大きい(ショッピングで100万円以上)

  4.指定店でのコースメニューの予約をすると、グループ内1名が無料

  5.料亭など、一見さんお断りの店でも予約することができる

  6.大相撲の土俵すぐ横のシートを予約できる場合がある

  7.国内外のホテルを予約できる。

    そのとき、部屋のアップグレードなどの特典が受けられる

  8.専用コールセンターを通じて航空券の予約ができる

 ただ、実際にはどうでもいいようなことばかりだ。

 例えば4。1名様無料というのは凄いけど、それ以前に元々指定されている店の値段も凄い。最低でも1万円くらい。ぼくは一食にそんなに払う気がしない。5や6も縁遠い。そして7だけど、「スーペリアルームの正規代金を払えば、ジュニアスイートに泊まれるんですよ」なんてのが魅力的に感じる人というのは、経済感覚においてちょっとまずいんではないかと思う。だってエクスペディアだろうがじゃらんだろうが、そのジュニアスイート自体に安く泊る方法、いくらでもあるって。この点は8も同じ。インターネット使えば自分でできる。それを代理してもらう代償が正規料金での支払いというのは、どうにも割が合わない(航空券の正規料金なんて、悪い冗談としか言えない額ですよ)。

 まあこのへんはダイナース独自の領域で、ゴールドカード一般の特典は1〜3か。でも、やっぱりどうでもいいようなことばかりだと思う。カードで入れるラウンジなんてのは、しょせんは待合室。窓すらない居心地の悪い部屋に安いファブリックのソファが並んでるわけだし、「お飲み物と軽食をご提供」なんて言ってるけど、ネットカフェ程度のドリンクサーバーの横にアルファベットチョコやピーナツが並んでるだけのことだ(どっちも中部空港の場合ね)。2は一応便利。でも家族までカバーしてくれるカードは限られている(ダイナースはダメ)し、そうでなくても毎年海外に行くような人でないと、関係ないとも言える。

 といっても、装飾品なのだから、こういう事実を並べて「だから要らない!」なんて結論づける必要はないのだ。お金に余裕があれば、高いものを買えばいい。ぼくがふだん使っているネクタイピンは、5千円ぐらいで買ったタケオキクチだ。これでじゅうぶんかっこいいから、三木谷さんや柳井さんが使ったっておかしくはない。ただ彼らには、「ダイヤをちりばめた数十万のネクタイピン」という、ぼくにはない選択肢もある。それを羨ましく思わないわけではないけど、背伸びして同じネクタイピンを買おうとまでは思わない。