ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

まだ走ってる(3)

 別にマラソンイベントでなくてもいい、そんなことも思わないわけじゃない。

 元々人混みというのはあまり得意じゃない。シティマラソンなんて、走るのも人混みなら観るのも人混みで、どちらについたとしても不幸さには違いがない。欲しいのが、その距離を走った満足感だとしたら、単独走行の方がいいじゃないか。

 とはいえ、本当に満足したかったら、出るしかないのかもしれない。「42.195キロ走ったことありますよ」よりも「東京マラソン完走ですよ」の方が、メッセージとして残るから。これが単に相当距離を走ったよってだけでは、自分自身だけのこだわりでしかないものが、マラソンイベント参加だと他人に対しても主張でき、しかもけっこう共感されやすくもある。

 ただ、一つ気になることがある。

 仮にぼくが出場するとすれば、それ自体がチャレンジだ。42.195Kmという途方もない距離を初めて走った記念に(完走できれば)なるだろう。そして、そんな「参加自体がチャレンジ」というランナーも、著名な大会であればあるほど珍しくないと思う。

 でも、冷静に考えると少しおかしい。大会は本戦であるんだけど、その本戦が初めてのトライアルなんてのは、どうにも不真面目なんじゃないだろうか。実戦へのデビューをしたいのなら、その前に同じ距離は走っておくべき。でもそれをやってしまったら、もうそれで満足できてしまう。

 ……なーんて、こうやって文章で書いていくと、どんどん話が先走ってしまう。

 実際に今ランナーとしてのぼくが抱えているのは、そんなハイレベルな問題じゃない。筋肉痛だ。最近は走るのが当たり前になったから、翌日筋肉痛で動けないなんてことはなく、ふつうに暮らしている分にはだいじょうぶだ。ただ、それで自分はだいじょうぶみたいな気になって、つい翌日も走ったりして、こんどこそはっきり解るようなダメージを与えてしまう。いわば「隠れ筋肉痛」問題。痛いという自分の感覚が、どうにも怪しくなってきてしまってることなのだ。