ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

持ち家プロローグ(3)

 実は申し訳ない気持ちには、未梱包な荷物以外に、もう一つの要因があった。重さだ。

 ぼくの荷物には、本が多い。

 もちろん自分が全然たいしたことない本持ちであることは、自分がよく知っている。というか、こちらは大海も知っていれば、天の高さだって知っているのだ。立花隆さんのような人とだけ比べているわけではない。例えば大学院の時に世話になった助教授(当時)の先生なんて、研究室をまるごと書庫にしていたけど、本人はそれを特別なことだとは思っていないようだった。実際、研究者は基本はこうだ。学会活動で知り合った20歳以上も若い友人たちとくらべても、たぶん劣るんじゃないかと思う。

 とはいえ、一般家庭の水準と比べれば、十分に多いことだと思う。手を出す分野が広く、古本屋に売ることもほとんどないからだ。特に、勤務先である学校のすぐ隣にブックオフがあるのが問題で、いろいろな本がどんどん溜まってしまう。

 そして凶悪なのが、雑誌だ。

 ぼくは雑誌が好きだ。何かの分野に興味を持つとまず購入してみる。そして気にいった雑誌はすぐにバックナンバー揃えたりするから、ジャンルごとにどんどん増えていく。で問題なのが、そういう雑誌に限って重いということ。『エアライン』から『LEON』まで、デザインが魅力的で印刷の美しい本がお気に入りなのだが、こういうのは紙もいいのを使っている。

 これが、梱包してみると、とてつもなく重い。持ち上げるのに苦労しつつそれを積み上げる。スペースの都合から、限られた場所に集めるしかないからなんだけど、いくつも積みながら床が心配になってきた。重さで抜けたりしたら、敷金がピンチだ。

 しかし本当に心配すべきだったのは、引越し屋さんの体だったのだ。出発を見送った限りでは、全員無事だったようで、何より。ただ、重い思いをさせてしまったことに変わりはなく、やはり申し訳なく思ってしまう。