ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

堂々と説くゲームデザイン(2)

 ゲームデザインとはなにか。

 平たく言えば、ゲームの設計である。“design”を辞書で引けば、字義の1番は「設計」となる。だから、ゲームデザインは、ゲームの設計。これで問題ない。

 ただ、早とちりには要注意だ。「プログラムの設計」ではない。ゲームの設計なのだ。ゲームとは遊びだ。だからゲームデザインとは、遊びの設計ということになる。単なる遊びなら設計の対象にもならないわけで、それは次のように要約される。

   ゲームデザイン≒「『面白い遊び』を設計する」

 そしてこれを代数的に展開すると、次のようになるわけだ。

   ゲームデザイン≒「『面白い』を設計する+『遊び』を設計する」

 ゲームには、ボードやカードなど、アナログゲームもある。これだってデザインの対象になるが、仕事として発生する場合の圧倒的大多数はコンピュータゲームだ。なのでゲームデザインには「ソフトウェアの設計」という意味合いもある。データ構造を決め、パラメータや関数を設定する。ただ、こんにちのソフトウェア開発でより重要なのは、ユーザーインターフェイスだ。データ構造なんてのは確立してしまえばそれまでだけど、ユーザーインターフェイスの進化にはゴールがない。

 ぼくはこれを「芸術」「工学」の二面性と捉えている。遊びと面白さ、これは芸術だ。こいつがなければ、ゲームなんて存在意義がない。でも同時に、それは作れなければならない。提案も構想も、技術的な根拠を伴っていなければ無意味。そのために必要なのは工学だ。

 そして第三の特徴としての「商品」。プロが仕事として手がけるゲームには欠かせないこの要件を加えて、「芸術、工学、商品の三位一体」なんてことを、ぼくは言っている。