ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

堂々と説くゲームデザイン(7)

 あれこれ書いてきたが、専門学校の教員という今の自分の立場からだと、いちばん根本の問題が、いちばん悩ましい問題になる。「学生諸君にそれを勧めるべきかどうか」という点だ。

 ゲームデザイナーは、固有の職務内容を持つ専門職だ。だけど、職業として志望する上では、大きな壁がある。

 まず、募集自体があまり多くないということ。

 ゲーム会社なら、どこでも新人を募集している。リクナビマイナビだけでもすごい数の紹介を受けることになるし、学校求人などを含めればもっと多くなる。だけど、ゲームデザイナーの求人は例外的だ。

 そしてもう一つ。「できる」ことを示しづらいということ。

 クリエイターの仕事に関する基本ルールは「作れる人には仕事がある」という言葉でくくることができる。作家になれるのは小説が書ける人だけだし、「ぼく、絵が好きなんです、まだ描けないけどこれから頑張って描けるようになります!」なんて言っている人が少年ジャンプ編集部から生活費をもらいながらデビューを目指すなんてこともありえない。作れる人であること、それが志望者にとっての必要条件だ。ゲームだって同じで、プログラマが数学の素養試験だけで採用されるなんてことはなく(ただしそういう会社が皆無とは言わないけどね)、「プログラムを作れる人」であることを示すのが当たり前。

 ゲームデザイナーだって、これは同じなのだ。同じなのだが、問題はどうやってそれを示すのかということだ。

 ともあれ、この2つの壁は、あまりに高い。高いから、抜け穴があるのなら、そちらを通って行ったほうがいいとも思う。つまり、プログラムとかグラフィックスとか、もっと安定して募集している職種で会社に入り、中に行ってからゲームデザイナーを志すということだ。ただ、それは「ゲームデザインを教えるフルタイム教師」というぼく自身の立場から言うと、ほとんど自己否定のようにもなってしまう。