ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

堂々と説くゲームデザイン(8)

 ゲームデザイナー志望者は、どうやって自分の「作れる人であること」を示したらいいのか。実はこの件については、決定的な答えが見つけられないでいる。しかし、最善手がわからなかったとしても、とりあえず打っておける手というのはある。それを積み重ねていくことで、負けずに済むことだってできるのだ。

 ゲームデザインが創作である以上、決め手は「やってみること」だろう。〈役割〉〈職種〉のどちらにおいても。絞り込めないのなら、絞り込まければいいのだ。

 専門学校生なら、やはり実際にプロジェクトを動かしてみることがいちばんだ。チームを作り、構想してスケジュールを立てて実際にゲームを作る。多くの学校が授業の枠でこの種の取り組みを用意しているだろうし、それが目的にうまくあわず任意活動とならざるを得ない場合でも、参加してくれる人材を見つけるのは格段に楽なはずだ。その時注意するのが、ドキュメント。企画書・仕様書の他、ガントチャートを始めとする、プロジェクトマネジメント関係の文書類だ。実際、2・3人が四半期1つ+αで創るようなプロジェクトなど、暗黙知だけでも動かせる。だが、そのやり方では、企画屋としての作品が残らない。ゼロ年代仕様の自分をアピールするためには、たとえ小さなプロジェクトでも、きっちりとドキュメントを制作することが肝心だ。

 また、ゲームジャムのようなイベント(例えばこことか)に積極的に参加することも大事だろう。これは、学課のスタイルとは対極にある制作で、誰にとっても貴重な体験になるはずだ。

 さらに重要なのが、ゲーム会社のインターンシップ。これは「ゲーム開発の現場」を知るという意味がある。実際、ゲーム会社的にいちばん遠慮して欲しいのは“夢見るゲーム少年”たち。それがどんな仕事で、何ができないとダメなのかなどを考えないまま、一方的な片思いに基づいて志望してきてしまう人たちだ。そういう人の存在で、インターンシップへの参加経歴を事実上の応募条件にする会社が増えるに至った。「実際のゲーム開発はこうだ」を知った上で応募してきているということを、そこでは重要視しているのだ。

 その他、ゲームとは無関係でも、あれこれプロジェクトを構想し、立ち上げてみることはいい。たとえミスコンの類だって、実現までこぎつけられたら、それは「実力を示した」ことになる。大学生とか、あるいは他分野専攻の学生のようにプロジェクトを動かせない立場なら、こういうことの一つ一つを積み上げていったほうがいいと思う。