ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

本棚を待ちわびて(2)

 本読みには「買う派(本屋族)」と「借りる派(図書館族)」がある。ぼくは前者で、だからなるべく本を買うようにしている。

 ただ、この“本読み”というところが、そもそもの始まりだ。世の中には、そういうものに全然関心のない人も少なくない。

「えー、なんで本なんか買うの? 損じゃーん!」

 こういうこと言うやつが熱心なパチンカーだったりする。

「本なんて読んだら終わりじゃーん。カネ帰ってこないしさ。そんなもの買うんなら、オレに預けてよ。倍にして返したげるからさ」

 これはこれである種の道理ではある(ただし、この投資、ぼくは絶対に乗らないけどね)。

 一方で、こんなこと言ってくるやつもいる。

「本なんて買わなくたって、ネットで調べればいいでしょ?」

 これは危険だ。自分自身がとても危険なことをしているのに気づけなくなってしまうから、危険なのだ。例えば子供は「白線の上しか歩かないしばり」で道路を歩く遊びをよくやる。当人たちは、車が来てないから安全だと思ってる。でも実はそこは道ではなく、ただ白線が空中に浮かんでるだけだとしたら? 「買う派」「借りる派」には見えているそのことが、肝心の「ネットで済ます派」自身には全く見えていないのだ。

 ともあれ、「本を買う」ということは、ある意味ライフスタイル上の態度表明でもある。別に賢い本ばかり買ってるわけじゃない。でも、腹がふくれるわけでもなければカネが貰えるわけでもないことに対してわざわざ身銭を切ることを重要視する、そういう生き方を大切にしていきたいし、その素晴らしさを他人にも目に見える形で伝えていきたいのだ。