ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

スイッチがまだ残ってる

 愛用していたiPadが起動しなくなった。スリープ状態から目覚めさせようとしても、ログイン画面が瞬間的に出て、すぐ黒い画面に置き換えられてしまうのだ。

 「黒い画面」というところがミソ。画面が暗くなるのではない。バックライトは煌々と輝いていて、それに蓋をかぶせるように黒い画面が描かれている。そしてスリープスイッチを入れても、まともに反応しない。一瞬だけ(Windowsブルースクリーンのような)青い画面が出て、すぐに消える。

 とりあえずAppleストアでサポートの予約を抑えた。それからネット上で同じ症状の例を探しはじめた。結局それは見つからなかったが、そうやって探しているうちに、疑問は確信に代わった。そして、これは壊れたな、と覚悟を決めた。それまで「そろそろiPadも新しくしなきゃ」なんて思っていたが、いざ買おうとすると思ったより高い。手持ち資金の関係から、iPad miniにするしかないと思った。問題は、ここで背伸びをするかどうかだ。Retinaモデルか昔ながらのやつか……予約のとれた月曜日、仕事が終わってからAppleストアへ。待ち時間、二種類のiPad miniをいじり、「どっちにしようかな」なんて悩みながら潰した。

 やがて時間になり、カウンターへ。そして待つこと約30分。担当氏に向かって症状の説明を始めたとき、思いも寄らない驚愕の事態がぼくを襲った。前日まで沈黙を守り通していたiPadは、全く何事もなかったかのように、起動したのだ。

 機械というのは、壊れていることを証明しようとすると、治る。誰がいったのか忘れたが、とてもばつの悪い思いをしてしまった。

 実際のところ、ぼくの無知に起因するトラブルだった。iPadでは、起動したアプリは、意図的に消さない限りバックグラウンドで動き続ける。きっとアップルのことだから、いっぱいになったら勝手に消えてくれるのだろうと思っていたらそんなことはなく、結果、30以上ものアプリが動作中という状態になっていたのだ。

 ただ、胸をなで下ろすことがひとつあった。それは怒らなかったと言うこと。予約時間から30分待たされたのだけど、担当者氏との会話は笑顔で始めたのだ。もしぷんすか怒りながら始めてしまっていたら、無事起動したときの衝撃は、自分を滅ぼしかねないほどだっただろう。これというのも、勝間和代さんの提唱する「三毒追放」(妬まない、怒らない、愚痴らない)を実践していたためだ。ありがとう、勝間さん!

 ただ一つ、問題が残った。ぼくの物欲スイッチは、入ってしまっていると言うことだ。ふつうに動いたからもう買う必要はなくなっているのだけど、既に買う気になって商品を眺めてしまっている。この気持ちをどうやってなだめるのか、難しい問題と言える。