ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

待ち人来たれども(2)

 オプション商法という言葉がある。前にプリンターの記事を書いた時にカートリッジ商法に触れたけど、それに似ている。例えば昔の車だと、エアコンがオプション扱いだった。今でもナビはそうだ。前に乗ってたのはヴォクシーだったけど、ハンドル側のリモコンで操作しようと思ったら純正のナビ付きオーディオを入れないといけないんだけど、確か50万くらいは高価くなったはず。車両価格200万の車でこうなんだからね。ともかく、必要不可欠なものをオプションにすることで見かけ上の値段を下げ、さらに「どうせならいいものを」の気持ちを刺激して無駄な買い物までさせてしまう、そういうビジネスソリューションの事を指す言葉だ。

 今回、少なすぎる棚板を前に、ぼくは思ったのだ。そうか、これ、それなんだよね、きっと……と。本棚は少し安めにしておく。値下げ原価は、本来必要だった棚板を減らすことで確保する。そして、安値に飛びついてきた馬鹿なお客に対し、プレミアを付けた「必須オプション」を買わせて十分すぎる元をとる。

 でも、必要な物なら買うしかないだろう。「似鳥屋、お主も悪よのぅ」などと思いながら、ウェブサイトを検索。そこでさらに驚くべき事実に遭遇した。

 ないじゃんか!

 他のシリーズにはオプションの棚板が用意されていた。さらには、棚の横に取り付けるドアとか、棚の下につける引き出しなんかもだ。なのに、ことこのシリーズには、ただの棚板すらないのだ。

 どうやらこのへんは、ぼくの思い違いだったようだ。ただ、メーカーのデザインミスは否定出来ないと思う。

 ウェブ通販の商品紹介のページには、こんなことが書いてある。

「前面右側は手前がスライド式となり、前後ともに奥行きが14cmなので、コミックや文庫本の収納に最適です」

 そういうこと言うんなら、実際にコミックや文庫を入れてみる程度の動作テストはするべきだろう。

 それともこの会社の商品戦略がちぐはぐなのかな。オプション商法をやるつもりで仕様を決めておいて、実際の商品ラインナップの段階ではころっと忘れてしまったとか。