ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

合言葉はアンチ反知(4)

 下品なおやじ問題。まだ検証はできないのだけど、ぼくは反知性主義とかなり深く関わっているのではないかと思っている。

 下品な野次といえば、かつて(たぶん10年以上前だ)こんなのがあった。国会のどこかの委員会で、野党議員が質問に立ち、こんなことを論じた……今、非正規雇用者が虐げられている。賃金は安く、昇給の機会もなく、十分な社会保障もうけらない。また研修などの職業教育の機会も奪われ、雇い止めの恐怖にもさらされている……このときなんと自民党からこんな野次が飛んだのだ。

「正社員になればいいだろ、正社員に!」

 これは、開いた口が塞がらないとしか言えないよね。そもそも企業が正社員としての雇用をしないことを問題視している発言なのに、だよ。お金がなくてパンが食べられないといっている人に「お菓子を食えばいいだろ!」と罵るのに等しい。

 なぜ、こんなたわけた野次が出てきたんだろうか。たぶんこの議員にとっての非正規労働者というのは、こういうこと言ってるやつなんだろう。

「オレ、自由でいたいんッス。会社とかそういうのに縛られたくないんッスよぉ」

 彼がそんな現実離れした世界観を身につけてしまったのは、おそらく週刊誌の見出しのせいだろう。週刊新◯とか週刊◯春とか週刊現◯とか(って、なんで文学系のメジャー出版社って、オヤジ週刊誌発行してるの?)、ここにはとても転記できないような人として恥ずかしい見出しがいつも踊っているけど、ああいうのだけを見て「世の中ってこうだ」と思いこんでしまっているんだろう。

 もう一歩踏み込んで、現実をみるべきだったのだ。その労を厭わないだけの知性、それが彼には欠けていた。