ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

バッカスの微笑み返し

 量販店タイプの酒屋をぷらぷらと歩いていて、足が止まった。リキュールの棚にあった、「ミドリ」という酒だ。

 蒸留酒を好むぼくとしては、リキュールは直接の対象じゃない。ただ、一時期カクテルに熱中していた関係から、銘柄は全般に知っている。ミドリの実物を観て、

「おおっ、これはあの世界的に評価されているメロンリキュール。ウリ科の果実で作ったリキュールがどうしても持ってしまうキュウリ臭さを感じさせないということで、国際コンクールで栄えある賞を受賞した逸品ではないか!」

 なんて漫画の解説屋のようなセリフが頭に浮かんでしまい、つい手にとってしまった。


 物語には味はない。だからうんちく語りなんてバカバカしいって意見もある。だけど、趣味性の高い商品には、つきものだ。

 むしろ物語自体が、価値の本体かもしれない。

 酒という飲み物にとって、物語はことの他重要だ。ただ酔っぱらいたいだけなら、銘柄なんて気にしない。やはり人が欲するのは、銘柄についてまわるストーリーの方だろう。

 で、いつものウィスキーと同じようにストレートで飲んでみた。

「…‥これって、むしろシロップだよね」

 ロックにしてみたり、炭酸水や牛乳で割ったりあれこれやってみた。試みるごとに酒っぽい雰囲気を失っていってしまう。最終的に落ち着いたのは、ヨーグルトにかけるって方法だった。

 かき氷ならもっといいかも。でも、お子様の誤飲に要注意だね。