ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ヒグラシよりもホラー

 あれこれ書いてるうちに、もう8月も下旬になってしまった。いよいよセミの声が、ツクツクボウシに代わってくる。小中学生なら、宿題に向けての最後の号砲ってところだろう。

 アニメとかドラマとか、セミの効果音とくれば、ミンミンゼミってことになってる。でも、あれが東京ローカルだってこと、関係者は気づいてるんだろうか。ぼくが子供の頃から成人するまでを過ごした三河では、セミとくればアブラゼミだった。だから、上京した最初の夏で鳴き声を聞いたとき、ちょっと感銘したものだ(一応いっとくと、三河にだって皆無ってわけじゃないよ。ただ優勢種がアブラゼミだったってこと)。

 ミンミンゼミに感銘したのは、単に東京を実感したってことじゃなくて、風情のある鳴き声を味わえたから。いちばん素敵なセミはヒグラシだけど、こいつは高原のキャンプ場とかに行かないと聞けない。でも東京だと、ミンミンゼミが街なかで(まあ大学は八王子だったが)聞ける。

「ミーン」と力強く鳴き始め、聞き手の耳を引き寄せたところで「ミンミンミンミン」と続け、そして「ミィィィィン……」と消えていく。これこそ、序破急だよね。きっと世阿弥はこういうのを聴きながら、風姿花伝を書いたんだ。アブラゼミのは「ジジジジジジジジジ」って感じで、とにかく暑苦しい。ちなみに、ぐつぐつとたぎる油の中に何か入れて揚げるときの音に似てるから、アブラゼミなんだそうだ。なんか嫌だね。つい、セミの天ぷらとか揚げてるのを想像してしまう。

 でも、考えてみたらツクツクボウシの方が、もっと序破急だった。

 今住んでる名古屋では、圧倒的にクマゼミだ。

 なんでクマなのかな。別に似ているようには見えないけど。でかいから? そんなに違いがあるようには思えない。

 やはり、鳴き声で名づけにくいからかな。そう、あれはどう聴いても「死ね死ね死ね死ね」って言っているように聞こえる。シネシネゼミ。まあ、大声でわめき散らしてるから、許そうか。