ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

勇気を持って通せんぼ(2)

 機材へのダメージというのは、見た目にはわからない。でも、切実さとしては、こちらの方が上だろう。

 現実に、エスカレーターの事故というのはしばしば起こっている。他ならぬ名古屋地下鉄の桜通線でも、突然の停止が原因で怪我人がたくさん出たという事故が起きている。これが逆回転だったりすると、何人もの人が大怪我するはめに。東京ビッグサイトで、ワンフェスのときに起こった逆走事故なんてのもあった。

 先日韓国で、痛ましい事故が発生した。通風口の蓋の上に、三十人以上の人間が乗っかった結果、蓋が抜け落ちて二十メートル下まで落下、十数人もの死者がでたとのことだ。韓国マスコミは「なんで我が国はこんな事故が連発するのだ!」なんて悲嘆していたけど、そういう危険への鈍感さというのは、別に彼らだけの事情じゃない。ぼくらだって、鉄の蓋が抜け落ちる可能性なんて、ふだん考えて暮らしてるわけじゃない。例えば歩道と車道の間によくある金属格子状のドブ板の上とか、歩かないわけには行かないよね。でも、抜け落ちる可能性とか、落ちたらどれだけ高さがあるかとか、気にしたことありますか? あれって、深いやつは、中に人が入り込めるぐらいに深いよ。不意に落ちたら、骨折間違いなしだと思う。

 そしてエスカレーター。ぼくたちはあれを単なる「動く階段」として見ている。階段だから歩くのも自由、そして故障することなんては想定していない。だけど現実には機械だ。壊れもするし、誤作動もおこす。