ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

無料ほど高価いものはない(1)

 コンピュータの世界では、いつも誰かが何かを叫んでいる。

「なんちゃらの時代が、来るぞぉ~ッ!」

 このなんちゃらは、来る場合もあるし、来ない場合もある。ただ、来る場合にしても、実際に使い物になるのは、とっくに叫び声がかき消えてしまってからだ。クラウドコンピューティングというのもそんな感じ。もう叫び声はどこかに行ってしまった(こだまが何度か帰ってきた感はある)けど、ひたひたと普及している。

 今、ぼくにとって欠かせないものになっているのが、エバーノート。Webで見つけた気になるページの記録の他、ちょっとしたメモ書きなんかに使っている。外出先でふとこのブログにふさわしいネタを思いついた時など、手早く起動してざっと書きこんでいる。また、アカウントの類もここに記録しているから(もちろん生のままで書くような危険なことはしていず、ちゃんとセルフ暗号化しているよ)、「欠かせない」の目的語は、創作系活動には限定されない。まさに生活のいろいろな局面において、欠かせないものになっている。あえて“Evernote”ではなく、「エバーノート」と表記しているところなんか、感じている身体感の現れだったりするわけだ。

 使い始めたきっかけは、買うつもりだったVAIOにプリインストールされていたから。見慣れないその商品名が気になり、とりあえず先行してデスクトップPCにインストール、使いはじめた。結局そのVAIOを買うのはやめてしまったけど、エバーノートはそのまま残った。やがて職場のPCだったり、新たに買ったMacBook Airだったり、使う環境が増えるごとにインストールする対象も増え、使う機会もシナジー的に増していった。

 そしてだいぶたってから、気づいたのだ。それが誰かが叫んでいたクラウドコンピューティングだということに。