ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

BCR、ウィーラブユー!(3)

 あの頃の日本の芸能界には、海外で何かがウケると、すぐその日本版を作りたがる傾向があった。前に指摘したような準中華思想じゃなくって、単に手っ取り早く儲けるための知恵だ。

 ベイシティ・ローラーズのときも、もちろん「和製」が作られた。その名も「レイジー」。ベイシティ・ローラーズのタータンチェックをあきらかに意識したお揃いのコスチュームをまとい、脳天気な曲で歌番組を賑わしていたバンドだ。メンバーは5人で、スージーとかファニーとか、愛称までいちいちついている(こうなるとむしろ60年代のグループサウンズみたいだね)。まあかなりキワモノっぽくて、どっちかというと―いや、明らかにかな、嘲笑の対象だった。ギターやベースまで一緒になっての笑えるステージアクションを入れたりしていて、よく教室の隅でホウキ持って真似して遊んだものだ。

 でも実は本格的なロックバンドだったのだ。事務所がそういうふうに売りだしてしまい、しかも成功してしまったから、擬似アイドルでしかいられなかったという悲劇。音楽性も持っている技術も良かったんだけど、ルックスも良かったのが仇になってしまったんだね。解散後、ヘビメタ系の「ラウドネス」と、ポップス系の「ネバーランド」に分かれて再スタートした(っていうか、ぼくたちは『ラウドネス』を通じて、彼らが実は凄いミュージシャンだったことを遡って知った)。ボーカルの人はネバーランドに。その後独立して、熱いアニソン歌手になっている(影山ヒロノブさん。代表作は『ドラゴンボールZ』ね! ちなみにレイジー時代の愛称は“ミッシェル”だよ)。

 マイナーなところも、いろいろ記憶にある。ファイヤーとかスロッグとかサーフライダーズとか、ウィキペディアでも出てこないようなバンドがあれこれあった……実はぼくも名前を覚えきれてなくて、代表作の歌詞で検索かけたら、発言小町経由で見つかった。あの人達も、影山さんのように、音楽界で活躍してるんだろうか。