ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

BCR、ウィーラブユー!(終)

 シリーズ最後の話は、ベイシティ・ローラーズに戻ってみよう。

 結局、ぼくはベイシティ・ローラーズ的なあり方が、好きだったんだと思う。歌い上げる世界には深みはないかもしれないし、社会的・政治的なメッセージ性も皆無だ。だけど、それと価値の有無とは直結しない。

 早々と卒業してしまったのは、他への興味だけではなく、嫉妬もあったと思う。もし、もう少し早いタイミングで(=スターとして日本で注目されるよりも少し早く)知っていたら、絶頂期から衰退期まで、ファンでいられたかもしれない。クラスの女の子たちとだって、仲良く出来ただろうし。

 さて、シリーズタイトルについて。

 これは、当時あった曲からとっている。あの頃、匿名のトリビュートバンドによるファンクラブっぽい曲、その名も「憧れのベイシティ・ローラーズ」(邦題)というのがあった。デレク、アラン、パット……と、メンバー名を読み上げるところから始まり、“ベイシティ・ローラーズ、ウィーラブユー”とフレーズを終える、本家以上に明るくて罪のない曲だ。日本でも、アイドルグループの誰かがカバーしていた。今、ひと通り文章を書いてみて、それを聴きたくなってしまっている。

 ベイシティ・ローラーズは、iTuneストアのおかげで、時を越えて聴けるようになった。でも、こっちの歌はどうにもならず、人類史の中から揮発しようとしている。さすがにこっちのレコードは持ってないから、自分でプレイヤー調達しても無駄だ。誰か、デジタル音源に変換して、アップロードしてくれないかな……なんて本音をつい思い抱いてしまうわけだ。著作権侵害であることは、百も承知の上で。