ソトメシ十番勝負(1)
ぼくはあまり外食をしない方だ。勤務先での昼ごはんもお弁当持参で、休日に昼をまたいだ外出をするとき程度。料理というのは文化的作品で、ソトメシはそれを“鑑賞”する場。そう考えると、これも経験獲得の貴重な機会だ。だけど何か気に入ったものがあると、どうも繰り返してしまい、しばらくそればっかり続く傾向がある。
最近その意味ではまってしまっているのが、リンガーハットの「野菜たっぷりちゃんぽん」だ。
“野菜たっぷり”ってキーワードは、レトルトのスープなんかでもよく見かける。
「まあ、比較対象がゼロなら、例え0.1でも“たっぷり”だよね~」
なんて皮肉でも言いたくなるような商品が大半だ。でも、ここのは違う。ほんとうにたっぷりな、特別メニューなのだ。もやしとキャベツ、そして彩りを添えるあれこれ。これが、麺どころか、汁すら見えないほどの山盛りになって出てくる。
その特別さを際立てるのが、ドレッシング。「ゆず胡椒」と「しょうが」の二種類が用意されている。これは、リンガーハットの中でも、野菜たっぷりちゃんぽんだけの特権だ。そもそも麺類にドレッシングをかけるという発想が、普通ない。でも、これがまたいい。ぼくはどちらかというとショウガの方が好きだけど、ゆず胡椒だって嫌いなわけじゃない。結局、二つのドレッシングをこまめに替えてかける。
ただ、ひとつ問題がある。 実はちゃんぽんの麺があまり好きじゃない。うどんとラーメンの中間のような曖昧さが、どうにも愛せないのだ。
「野菜たっぷりちゃんぽんください。あ、麺は抜いて」
こんな注文、喧嘩売ってることになりそうだ。