ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ソトメシ十番勝負(2)

 人生初のチーズ…なんてものを覚えてるわけないんだが、まあ物心ついた頃からチーズというのはあり、当然のように、塩辛くて冷たいものだった。円弧形だったり、棒状だったり、消しゴム型だったりとやたらと形はあるものの、味的にはどれも大差なく、「ま、チーズだよね」としかいいようのない味だ。だけど、この国が獲得した“豊かさ”の影響で、やがて真実を知ることになる。昭和の子どもたちが「それしかない」がごとく押し付けられていた代物は、「プロセスチーズ」という、チーズの中でも三下級の連中であって、その向こうには限りなく多様な広がりがあったということだ。

 「熱くて溶けているチーズ」もまた、そうして明かされた真実の一つだろう。ときおり心の奥底から「溶けたチーズ食いてえーッ!」がわき起こってくる。このチーズ欲、かつてはピザで充たそうとしていた。だけど、やつはああみえてそれほどのチーズ量がない。その上、余計なものがあれこれ追加されていて、せっかくのチーズが脇役になってしまっているのが実情だ。

 宅配ピザだと、一から注文することができる。そこで、あるときスペシャルメニューを考えた。名づけて「チーズ乗せプレーンピザ」。プレーンピザに、追加トッピングとしてエクステンドチーズを加えるわけだ。これは名案だと思った。実物が届くまでは。そう、これだけやってもまだまだ不足なのだ。しょせんピザ屋にとってチーズとはその程度のものだったということだ。

 この悩みをいっきに解決してくれたのが、チーズナンだ。