ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ソトメシ十番勝負(4)

 ナンとの出会いは、二子玉川にあった『モティ』というインド料理店でのことだ。ちょうどバブル真っ盛りの頃だったと思う。ショッピングセンターの一角にあるガーデン式の店だった。その頃は、はっきり言って「ナン」という名前すらよく知らなくて、最初のオーダーの時には戸惑ったものだ。

「ゴハント、ナン、エラベルネ。オキャクサン、ドッチスルカ?」

「え、ナンですか?」

「ダカラ、ゴハント、ナン、エラブノ、オキャクサンッ!」

 インド人店員さんとの、こんなコントめいた会話も、今となっては懐かしい。

 その後、久我山に越してからは、吉祥寺に同じモティの店があって、そっちがぼくの行きつけになった。ここは地下にある店で、なんとなく怪しい雰囲気があって、面白かった。ただ、二子玉川のテラスで燦々とした陽を浴びながら食べた料理のほうが、インドっぽくてよかったように思う。

 名古屋に来てからだと、まああちこち行ってはいるんだが、市内にそんなに特記できる店はない。自分的な県内ナンバーワンは、岡崎の『ガナパティ・ババ』。岡崎城から乙川沿いを上流に向かって少し進んだところにある店だ。かなり年季が入っている建物だし、1階には別のエスニック系の店が入っているから、行っても期待度は低いかもしれない。だけど、味は最高だ。美味いだけじゃなく、お値打ち度でも満足できる。ふつうのランチで、カレーにチーズナン、さらにタンドリーチキンまでついてくる。実を言うと、チーズナンとの出会いも、この店だったのだ。

 ただ、岡崎まで行く用がほとんどなくて、結局入ったのは2回だけだ。先ほどの評価は、多少、記憶補正が混ざっているかもしれない。