ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ソトメシ十番勝負(8)

 東京に出張に行くと、楽しみなものがある。ソバだ。

「名古屋だって蕎麦屋ぐらいあるぞ!」と言われそうだけど、前提になっている店のレベルが違う。ぼくにとってソバとは何より立ち食いそばでないといけない。「八っつあん・熊さんが、小腹が減った時に掻きこむべき食べ物」というのが、本来の文化的姿。なので、和食然とした蕎麦屋というのは、ちょっと違う。もちろん旨いものが嬉しいのは当然なのだけど、心のなかから立ち上る「ソバ欲」を満たすべき食品は、それとは違うわけだ。

 立ち食いそば屋は、駅と連動している。駅の近くには『富士そば』、そして構内には、各鉄道会社直系のそば屋が入っている。京王線だと『深大寺そば』、そして小田急の『箱根そば』だ。

 東京にいた時、ぼくは京王か小田急のどちらかの沿線に住んでいた。私鉄というのは格付けがあって(江戸っ子は格付けが好きなのだ)、常識的には「東急>小田急>京王」となっていたものの、ぼくは京王線の方が好きだった。だけど、こと立ち食いそば屋という点では、負けを認めるしかないだろう。特に、小田急新宿駅箱根そばは、わざわざ寄り道してでも食べたくなるほどだ。

 なんで名古屋にはないんだろうか。移動中に小腹が減ってきたときなんか、とても便利なのに。あるとき「ソバ欲」がむらむらと湧き上がってきて、和食系蕎麦屋に入ったら、ざる蕎麦ひとつで800円ぐらいとられた。ぼくはこういうのにかなりげんなりしてしまう。みんな車で移動するからか?