ソトメシ十番勝負(9)
公平になるように、きしめんの話もしておかないといけないだろう。
名古屋の駅には、立ち食いそばがない。なので、都内の駅と同じようなつもりで移動していると、空きっ腹抱えることになる。一部の駅には例外的にあるけど、あくまでも例外だ。
ただ、JRの名古屋駅、ここはちょっと別格だ。立ち食いそばというのはない(と思う)けど、その代わりに立ち食いきしめん屋があるのだ。そして、ここのきしめんは、なまじっかの店よりも美味い。それが食べたくて、わざわざ入場券買って入る人もいるとか。
ぼくはそこまではしないけど、東京から帰省してくるとき、よく立ち寄ったものだ。ただ、一つ問題があった。新幹線の場合、店がホームの両端にあるということだ。ふつうにホームに降り立った時、かなり遠くまでとぼとぼ歩くことになる。それでも食べに行きたくなるだけの魅力が、そこにはあった。
とはいうものの、駅に入らないといけないわけじゃない。実はすごくいいのが、ひとつある。熱田神宮の境内にある宮きしめんだ、
地元(工学院は熱田にあるのだ)だから言うわけじゃないけど、これは美味いよ。名古屋の味付けは通常濃いんだけど、ここのきしめんのつゆは、薄くてキレのいい味だ。見た目も透明で、白醤油で仕立てているんだろうか。
熱田名物とくれば、蓬来軒のひつまぶしだけど、これはいつも混んでて、1時間ぐらいの待ちを覚悟しないといけない。宮きしめんなら、いつでも食べられる。