ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

選挙に向けて思うこと(2)

 今の選挙制度の不備は何か。投票する相手が見つからないことだ。

 元々、選挙区の候補者の数は「定数+1」に収束することが多い(デュベルジュの法則)。最初は賑やかだった選挙区も、何度も選挙が続くにつれ、だいたいこの程度になってしまうのだ。小選挙区制の場合だと、候補者は2人。通常これは対立する政党から出るわけで、ほとんどの人にとって、政党だけを基準にした二者択一が迫られることになる。

 だけど、ぼくは、それが嫌だ。

 だいたい政党で選ぶしかないって点がおかしいのだ。「政治家なんて信用できない」という人は多いけど、政党はもっと信用できないと思うよ。政治家は自然人だから、恥とか外聞とかいった人間としての感情を持っている(一般市民とはずれるにしてもね)。でも、法人はそうじゃない。会社に関する定義……「個人では恥ずかしくてできないようなことを堂々とやるために作られた組織」なんてのをどこかで読んだことがあるけど、この点で政党は会社以上だ。会社なら、常に欲得尽くって考えることもできる。だけど政党には、欲得の他に「大義」があって、損得勘定的にはあきらかに不利にしかならないようなことでもやってしまう。

 という訳で、「政治家は人で選ぶ」ができるシステムでないといけない。もちろん党議拘束がある以上、政党だって無視することはできない。となれば、答えは一つ。一つの政党から複数の候補が立候補する仕組みが必要で、つまり大選挙区制しかない。

 昔の“中選挙区制”復活でも不十分。全国的な視点に立った上での“地元”―例えば名古屋なら、愛知・岐阜と、三重・静岡・長野の各一部―単位で全国を20くらいに分割し、それぞれを選挙区とするのがいい。人口比を適用しても、小さいところでも10人程度は選べるわけで、これなら「党を決めた上で、人を選ぶ」ことだってできる。