ゲームは究極の科学なり

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選挙に向けて思うこと(3)

 今の制度は、小選挙区比例代表を併用している。ただ、結果として「どちらも党で選ぶ」になってしまう点に、問題がある。それを「少なくとも選挙区の方は人で選びたい」というのが、大選挙区制導入の目的意識だ。

 そしてもう一つ、比例代表の方にも、手を入れる必要がある。

 現在の比例代表の最大の欠点は、「本当の政党」を選べないことだ。

 かつての日本は「自民党一党支配」なんて言われてきたけど、実際には長年にわたって連立政権だった。「自民党」という枠の中にいくつもの派閥があって、それが現実的な与党/野党の関係を築いてきたからだ。だけど、比例代表では、この意味での党を選ぶことはできない。ひどく大きなくくりとしての「党」で、その中の順位は彼らの自治に委ねられているわけで、これじゃ単に白紙委任状を出しているのと変わりない。

 そこで、「本当の支持政党」に投票できるシステムが必要だと思うのだ。

 例えば、自分の得票の余った分を、他の選挙区の同士に譲り渡せる制度とか(もちろん一票の重み付けには苦心がいるが)。候補者は、自分の当選に必要だった以上の票を得票した場合、それを他の選挙区の予め指定しておいた候補者に譲り渡すことができる、というような仕組みだ。政策などで同調する候補がお互いを指名することで、有権者としてはそのグループを考慮した上での投票ができるし、また支持する候補と近い人が全国で選ばれるということもサポートされる。

 こういうこと書くと「お前は派閥の完全復活を願っているのか!」なんて言われそうだ。でも、派閥=悪というのは、単純すぎる思い込み。政治過程的には、本来そんなに悪いものじゃないのだ。そもそも何のために議員を立てるのかと言ったら、選んだ自分の考えを国政に反映したいからだろう。でも、大政党では、見込み薄だ。所属議員が300人もいたら意見交換なんてできるわけがない。結局、よほど力のある議員でないとその声は中央まで届かないということになる。これが50人程度だったらなんとかなる。

 従来の(自民党型)派閥の欠点は、まさに「有権者は派閥を選べない」ことにある。構成員をコントロールするためのツールが「金」になってしまうから、派閥の領袖は高い集金力がないと務まらず、金権政治が展開されてしまったのだ。でもこのやり方だと違う。人の持つ得票力が、そのままコントロールの“資金”になってくれる。