ゲームは究極の科学なり

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選挙に向けて思うこと(8)

 気づいたら、選挙戦も終盤になってしまった。政治について書き連ねていたけど、こちらもそろそろ終わりにしよう。

 最後に書く政策的な主張は、議員報酬と政治資金の話だ。

 ぼくは思う。国会議員の報酬は少なすぎる。少なくとも、上場企業の役員程度の水準にまで増やすべきだ。理由は、優秀な人材をこの分野に引き寄せる必要があるから。社会はどんどん複雑化し、解決すべき課題の困難さは増している。これに対処するためには、専門職として取り組む人材が必要だ。

 政治/行政はフェアでなければならない。なのに、この主張をする人自身が、なぜか「政治家の給料は低ければ低い方がいい」みたいなことを言っていることが多くて、不思議に思う。だって、もしそうだったら、(実入りの良い)本業持ってる人が片手間にやるか、あるいは給料払ってくれる団体の代弁者として(たぶんその団体に便宜図りながら)仕事する人か、どっちかしかいられないってことになる。どう考えても、フェアじゃない。

 そして、政治資金について。

 いい加減、個人の家計と比較するのはやめてほしい。議員というのは、実際には個人じゃなく機関だ。利害を調整し、具体的な政策を決定していくために存在している。日本というかなり巨大な国だから、発生する利害の量も半端じゃない。それをなんとか調整して政策を実現していくのが彼らの仕事で、その役割は統治機構の一部だといえる。現実に、個人が携帯電話だけあればできるってもんじゃないだろう。議員一人当たりの国民は25万人。その1%だけが連絡とってくると仮定しても、2500人だ。事務所がなければさばけないし、力のある議員であればあるほど、その事務所規模も大きくしないとさばけない。

 だから、比較するなら企業とでないとおかしい。地方都市の市議会議員なら、まあ実際のところ個人商店程度のものだろう。でも政令指定都市や県の議員なら、中小企業ぐらいにはなる。そして国会議員というのはその上に位置するわけで、東証一部上場企業と比べないとおかしいのだ。

 上場前の企業だって、数億円ぐらいの年商はある(そして同じぐらいの支出があり、経営はなかなか大変だ)。大物代議士の政治資金が億単位なんてのは、むしろ少なすぎるぐらいだ(実際に過少申告だと思うよ)。

 こういう部分は、ちゃんと公明正大に営まれるべきだろう。税金で手当されることだって必要だ。上場企業の役員には、しばしば専用の秘書付きオフィスに運転手付き社用車が与えられるけど、別に自分の年俸から支出しているわけじゃない。政治家個人の家計と一体不可分な個人商店型はやめにしてもらい、きっちり公金として処理する。そのかわり、ちゃんと払うべきものは払う。こんなシステムを導入していくべきだと思うのだ。