ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

テニスについて少々(4)

 さて、こんな競技特性と決して無関係ではないと思われる、テニスという競技に言える特徴がひとつある。

  「性格の悪いやつが強い」

 スポーツ漫画のダメなところを凝縮して作ってしまった感のある『テニスの王子様』、どこがどうとか言う必要もないほど現実離れした作品なのだけど、ことこの一点だけにはリアリティがある。あの漫画の登場人物は、主人公も含め、ほとんど全員が嫌なやつだ。

 何しろ、あの根性悪のルールだ。それに耐え抜けるという時点で、ふつうの人間とは異なるパーソナリティを持っているといっていい。実際、試合の組み立てという意味でも、性格の悪さが発揮される。左右に揺さぶって相手の脚を弱らせるとか、そういうのが戦略の基本。ルールの性質上「一発大逆転」はないから、どうしたっていたぶり殺すみたいな感じになってしまうのだ。

 また、プロテニスプレイヤーというのは、人の目を全然気にしない。プロスポーツ選手というのは同時にタレントでもあるわけで、スポンサーがついてなんぼの商売なのだけど、なぜかテニス選手は、他人からどう見られるかなんて、全然気にしてないのだ。試合中は、いつも不機嫌な顔をしている。しかめっ面でガットのズレをいじいじとなおしたりするし、自分のミスショットをラケットに八つ当たりするなんてこともへっちゃらだ。

 そして、特に女子に目立つのだけど、プレイ中やたらと吠える。

  「ギヤホオオーーーッ」

  「キヒィエーーーーッ」

 なんて、パソコンのフォントじゃどうしたって実感できないような声を、ショット撃つたびに叫ぶのだ。

 バブルの時代は、テニスというのは「おしゃれで気取った、お嬢様スポーツ」ということになっていた。今はどうなのかな。