ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

テニスについて少々(6)

 このブログは一応ゲームがテーマだから、そっち方面の話題もしてみよう。

 テニスのゲームというと、ファミコン時代に印象的なタイトルがある。ジャレコ『燃えろ!プロテニス』だ。

 ジャレコとくれば、『燃えろ!プロ野球』。当時いっぱいあったプロ野球ゲームの中で、ひときわ異彩を放っていたタイトルで、「しゃべる」を売りにしていた。「ストライック―ッ!」とか「ボォーールゥ」とかいった審判のコールや観客の歓声なんかが、サンプリングボイスになっていたのだ。『燃えろ!プロテニス』は、いわばそのテニス版。「サーティーラブ」とか「フォールト」とか言ったコールの他、ときどき選手がジャッジにクレームつけることがあり、「ノゥ!」と叫ぶ選手の声なんてのが、サンプリングボイスになっていた。

 今の時代で考えると、なんでそんなものが「凄い!」扱いできたのか謎だろう。これは、ハードの事情と大人の事情とがある。

 ファミコンには、音声合成チップは実装されていない。なので、そういうことをしたかったら、ROMカセットの中にチップを組み込んでおくしかない。だけど任天堂は、一般のサードパーティには、ROMの製造を認めていなかった。ごく一部の初期パートナー企業だけがいわば特権として認められていて、『燃えプロ』がそうであれたのは、メーカーのジャレコがそういう特別なサードパーティだったからだ。