ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

テニスについて少々(8)

 スポーツは、ゲームのモチーフとしては定番だ。ただ、昔と今とでは、全く違う。ファミコンソフトでのスポーツは、ただのアイコンだった。先述の『テニス』だけでなく、『ベースボール』も、実際の野球とは似ても似つかないプレイアビリティになっている。

 一方、今のスポーツゲームは、基本的にシミュレーションだ。

 EAスポーツのラインナップには当然のようにテニスだってある。その名も『EAスポーツ・グランドスラムテニス2』スクリーンショットを見ると、ボルグやマッケンローといった、ヒストリアルな王者までがラインナップされている。いうまでもなく、リアルなCGだ。日本語サイトのトップに出ている錦織選手はいまいちだけど(帽子にユニクロのマークが入ってなかったら、そもそも彼だっていう確信持てないだろうね)、ウィリアムズ姉妹なんて、かなり再現度が高い。動いている画面がどうなのかは解らないけど、ちょっとプレイしてみたくなる水準だ。

 ただ、こうなると、大きな問題が出てくる。「スポーツの種類を選ぶ」ということだ。

 アイコンに過ぎなかった時代、人気スポーツであれば即座にゲームになった。だけど今はそうはいかない。シミュレーションにして楽しめるスポーツでないと、ゲームの対象になりづらいはずだ。

 そしてもうひとつ、問題が。

 それは、「嫌なところまで、再現されてしまう」ということ。

 シミュレーション化したことで、プレイ時間までもが本物のテニスと同じような、重厚長大なものになってしまう。実のところ、ファミコン時代の『燃えテニ』ですら、その長さにうんざりさせられた(男子選手でプレイすると、当然のように5セットマッチになる)。EAの『グランドスラムテニス』は、やはりグランドスラム達成しないとコンプリートといえないんだろうか。