ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

平気で半世紀なわけですよ(2)

 スパイという仕事には、ちょっとだけ憧れたことがある。

 厳密には、情報分析官。スパイ自身じゃなくて、スパイが持ってくる情報を分析する仕事だ。他国の軍事システムを推測、国家戦略に役立てるというこの仕事、正々堂々と軍事オタクを貫けるとても貴重な職業。これに憧れていた。

 そんな仕事日本にあるの? その疑問は正しい。

 ないはずはない。ただ、思ったほどの規模じゃないかもしれない。そして、どこにあるのかよくわからない。当然軍事組織の中にあるのだろうけど、自衛隊なのか防衛庁なのかわからない。そして、任用ルートがさらに謎だ。自衛隊防衛庁には、三種類のルートがある。自衛官としていわゆる軍人になる方法、防衛庁の事務官になる方法、そして他官庁のキャリア官僚となり異動する方法だ。当時まことしやかに言われていたのが「防衛庁は警察官僚に牛耳られてるんだぜ」説。3番めのは、この軸に沿った話になる。

 まあ、できることとできないことがある。軍人なんてまず無理だ。キャリア官僚にはなれるものならなりたかったけど、試験に受からないことにはね。で、結局Ⅱ種の事務官の試験だけ受けて、落ちた。平行して受けていた東京都特別区の採用試験には受かったから、身分的には翌年から公務員になった。でも、区役所には残念ながらスパイ組織はない。

 なんで、そんなものに憧れたのか。ようするに、『レッド・オクトーバーを追え!』の、ジャック・ライアンになりたかったのだ。ミーハーだね。ただ、ジャック・ライアン自身はその後どんどん出世し、CIA長官を経て、アメリカ合衆国大統領にまで上り詰めてしまった。こうなると日本で対応するキャラは、島耕作なんだろうか。(ちなみにライアン大統領の最初の施策は、累進課税の撤廃だったけど)。