ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

最新という憂鬱(4)

 なんでハイレゾを求めていたのかというと、Windowsの存在だ。

 当時、日本よりも何かと先行していたアメリカ市場で、DOSマシンをGUI環境に変えるOSとしてMS-Windows3.0が登場、たちまち主流となっていた。そのあたりの事情が雑誌で伝えられ、「さあ、これからはWindowsの時代だッ!」なんて感じで(マスコミ的には)盛り上がっていたんだけど、正直日本での反応は薄かった。自分の周囲でもそうだ。特にプログラマ連中なんて冷淡なもので、その筆頭にいたのが社長(当時のゲーム会社社長は、ほとんどが元プログラマ)だったりする。でも、企画屋は新しもの好き。なんとか始めてみたいと思い、デスクトップ機の買い替えを模索したのだ。

 ただ、始めようとすると、なかなかたいへんだった。何しろ市場もまだ盛り上がってないから、パソコンも伝統的な画面サイズのものばかり。だけど、マルチウィンドウのGUIに、640✕400ドットじゃあまりに狭すぎる(“窓”じゃなくて“穴”だよね)。その前のWindows2.1なら少しだけ使ったことがあり、その時の経験からGUIやるなら高解像度画面じゃないとだめだってことを知っていた。

 そんなときだ。エプソンから、“買えるハイレゾ機”とも言える、386GSが発売されたのは。

 2+1のドライブ構成は実用的(当時の常識)だし、CPUもインテル80386という十分に高性能なもの(当時の常識)が実装されている。そしてメモリも2MBという余裕のサイズ(当時の常識)を持っている。ちょっと贅沢してオプションの数値演算コプロセッサを増設、ハードディスクは元々使ってた45MBという必要十分サイズ(当時の常識)のを移行するということで、念願のGUI生活をはじめることにしたわけだ。