ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ほんとは256倍くらいかな(4)

 なんてまるで揚げ足取りしてるみたいだけど、結局こういうのは程度の差なんであって、基本的には「同感ッ!」なのだ。ぼくの知る実感と、この人が書いていることとの違いは、国の差かも知れないし、時代の差かもしれない。

 あるいはここでも、“ピケティ効果”が現れているかもしれない。上位1%のゲームが、他の99%の総量を超える大変さを背負い込んでいるのではないだろうか、なんて思うのだ。

 Unity使って暇つぶしゲーム作るのが「想像の1000倍ッ!」なんて言ってるのなら、じゃあ想像してたのってどんなだよと、問い直してしまいたくなる。こちらでは、おそらくたいしたたいへんさはない。一方で、新発売されるゲーム機のローンチタイトルであれば、途方もない“たいへん”が待ち構えてる。本来、プログラミングなんてのは「論よりRUN」。なのに、仕様書だけ読んでマシンを理解し、おそらくはバグがいっぱい残っているライブラリを使って、ゲームを作らなくちゃならない。そして、求められるゴールラインは、とてつもなく高い。「おーッ、今度のプレステすげーッ!」って叫ばせるようなゲームにしないといけないからだ。

 実際、世の中で話題に上るソフトは限られている。でも、実際には、もっと多くのゲームソフトが世に出ているのだ。話題度が金銭と同じような数値で示せるものだとしたら、トマ・ピケティが言っているような、巨大な「貧富の差」が出現しているかもしれない。

 まあそんなわけで、高みを目指す人なら、1000倍を覚悟してってことになるんだろうか。