ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

ほんとは256倍くらいかな(6)

 そんなわけで、かつては情報をどうやって遮断するかというプロデューサー的な立場での問題だった本件、今ではもっぱらクリエイターに委ねられた問題と言える。「その欲求をいかに我慢するか」ということだ。

 ちょっとGoogleを叩けば、いくらでも転がり出てくる。これは、見たくなるだろうね。でも、してはいけないのだ。商業メディアに掲載される通常の批評なら、蔵出しされた時点でもある程度の熟成は行われている。ライターは、考えたことをそのまま書き殴るわけじゃない。いやしくもプロたるもの、書いてから3回ぐらいは見直し、推敲を加えるはずだしね。でもネットのは違う。プレイしたその日のうちに書き始めてたりする(他人より遅くなりたくないからね)。つまりが出したてのほやほや、まだメタンガスを大量に放っているようなやつだ。あえてそんなの吸い込む理由なんかない。

 とここまで書いていて、ちょっと前に物議をかもした、小池一夫さんの意見を思い出した。

「ネットの匿名掲示板等を作家は見ない方がいい」というツイート、そしてそれによって巻き起こった反響だ。基本的なところは、ここを見るとわかりやすい。

 いうまでもなく、ぼくはこの考えに賛成だ。

 付け加えるなら、匿名か実名かは、意見が尊重されるべきかどうかにおいて本質的な問題ではないと思うね。重要なのは、名を損ねることにリスクがあるかどうかということ。このへん、実名か匿名かとは、直接結びつかない。