ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

直球勝負、ゲームデザイン!(6)

 もう一方の管理者、これはどのようなものか。

 伝統的に、企画職のいちばん主要な役割は「開発庶務」だ。ソフトウェア開発にはいろいろな雑用が発生する。電話とる、文書や書類を整える、スケジュール切る、会社全体の会議に出る、マスコミに対応する……こういった非創作的なことも、仕事は仕事。誰かがやらないと、プロジェクトは進まない。で、「プログラムも組めず、絵も描けない」企画職が、通常その担い手となる。

 もう少し建設的に言えば「ベン図の補集合」ということになる。開発チームは、多数の専門家によって構成される。彼らの仕事は、重なるところもあるけど、隙間もある。誰かがここを埋めてやらないと、ゲームは完成しない。

  「これ誰かがやんなきゃいけないよな……

   なんてこった、またオレじゃんか!」

 企画屋ってのは、こういうタイプがやるべき仕事なのだ。

 開発チームにおける総合雑用係……といえば、あまりロマンは感じられないだろう。でも、官公庁や大企業では「総務部」が大きな力を持っていることからもわかるように(役所でその頂点に立ってるのが、官房長官だ)、システムの規模が大きくなってくると、えてしてこういう立場が強くなってくる。

 各雑務は、実は次のように捉えうるものなのだ。

  ●電話とる   →他部署から見たそのチームの窓口

  ●文書・書類  →「企画書」「仕様書」の執筆者

  ●スケジュール →プロジェクトを切り盛りしているマネージャ

  ●会社の会議  →チームの代表者

  ●対マスコミ  →そのタイトルの作者

 こうなってくると、ディレクターとの境界線もあいまいになる。ただ、他にディレクターがいるプロジェクトでも、その指揮に入って仕事をするときのゲームデザイナーは、こういう役割だって担う。実際、ディレクターだって広い意味での「企画職」であることは確かで、無理に境界線を引く必要もない。