ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

直球勝負、ゲームデザイン!(9)

 昭和期のサラリーマンの間に伝えられていた、こんな言葉がある。

  「全部優先!」

 体はひとつしかなく、持ち時間は24時間しかない。だから仕事というのは優先順位をつけてこなしていくしかない。じゃあ、どれを選ぶべきか。ここで出てくるボスからの言葉が、これなのだ。ある仕事を優先し、他が二の次になっているようなとき、よりによってその「他」について報告を求められたりすることがある。ここで「優先する別の仕事を進めていました」なんて答えたら、こう叱責されることになる。

  「バカもんッ、仕事は全部優先だッ!

 ゲームデザイナーの就職ということを考えるたび、ぼくはこの昭和なキーワードを思い出す。

 提案者/管理者モデルで、ゲームデザイナーの仕事を示した。だけど、この2つを満たすということは、実は途方もなくたいへんなことだ。

 提案者として、何ができないといけないのか。

 プレゼン、ネゴ、ディベート。そのあたりは当然だろう。提案者である以上、口頭で提案するのがメインになる。喋れなくちゃいけないというのは、物書きが文章書けなければいけないのと同じだ。またドキュメンテーションというのもある。提案書から始まり、企画書・仕様書・設定書・媒体資料と、作らなければならない文書は多い。用途に応じた的確な文章が書けることに加え、きちんとした構成で理解しやすく使いやすいものを作れるようになっていないといけない。

 一方、管理者としては、やはりプロジェクトマネジメントに尽きる。何はなくともガントチャート。ただ、そもそもプロジェクト自体が構築できなければ、ガントチャートなんてただの塗り絵だから、それに先立つWBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャ)、つまるところはソフトウェアの作り方に関する、かなり深い勉強が必要になるだろう。

  /具体的にどんな知識が必要なのか知りたい人は、

  /Googleで次のキーワードでも叩いてみてください

  / ―PDCAアジャイルPERTクリティカルパス

  /ひと通り見るだけでお腹いっぱいになること請け合い。

 でも、これらはあくまでも「外から見える」部分だけの話。肝心の中身については、まだ始まってもいないのだ。