ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

直球勝負、ゲームデザイン!(10)

 ゲームには、芸術、工学、商品という3つの面がある。ゲームデザイナーは、このそれぞれについて、積極的に知っていなければいけない。

 工学というのは、さしあたっては「仕組み」になるだろう。ソフトウェアや3DCGについて、それがどのように動いているのかぐらいはわかっていないと話にならない。プログラミングやムービー作成そのものはしないにしても、プログラマやアーティストが何をしているのかは理解できないと、文字通り(彼らと)話ができないのだ。また、コンピュータやオーディオ/ビジュアルに関する技術的なトレンドにも明るくないといけないだろう。

 商品にまつわる部分は、けっこう幅が広い。赤字を前提にしたプロジェクトは提案できないわけで、「いくらかかって、いくら稼げるのか」に対する見通しができなければ、仕事にならない。また、マーケティングも必須知識だし、流通やマーチャンダイジング(商品化)とそれに伴う権利関係の法務にも、理解が必要だ。

 そして、芸術。これが、なかなか厄介だ。

 まずゲームを知っていること。好きなゲームあるいは好きなジャンルだけをひたすらプレイしているようじゃだめだ。幅広い分野を知っていないといけないし、売れているものはちゃんと押さえておかないと。そして、今現役で売られているゲームだけでも不足だ。古いもの……スーファミ時代のヒット作ぐらいまでは実際にプレイしておかないといけないだろう。まあ『ディフェンダー』や『ムーンクレスタ』にまで遡る必要はないが(でも、タイトルを知った以上、プレイ映像ぐらいはあたっておくようにしようね!)。

 さらには、コンピュータ以外のゲームにも、注意を払って欲しい。カードゲームは、まあ今更だろう。ボードだと『カタン』や『スコットランド・ヤード』あたりだろうか。そして、古典的ゲームということでいえば、やはり『モノポリー』。できれば実際にプレイしてみることをお勧めする。