ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

直球勝負、ゲームデザイン!(終)

 では、どのくらいの水準に達していたらOKなのかというと、これは一概には言えない。そもそも企画職の募集数なんて、「ゼロ〜若干名」だ。同時期に会社を訪れた志望者の中のトップ級でないと入れないと考えたほうがいいだろう。そしてどのぐらいがトップになるのかは、そのときの志望者の水準によるので、あらかじめ設定しておくわけには行かないのだ。ただ、傾向としては、年々高水準になっているとは思う。10年前なら「どれだけ売れるか」なんて気にしなくても良かったし、ガントチャートだってわからなくても構わなかった。今は、そういうことができないとだめだ。これだけ情報があふれている時代、ネットで調べりゃわかる程度のことを知らないままでは、プロ志望としての真剣さだって疑われる。


 なんだか、励ましているのか脅しているのか、わからないような状態になってしまった。まあこれはどちらでもあり、どちらでもない、といったところかな。今回、ぼくは事実に基いて書いている。先に価値判断があるわけじゃない。

 ただ最後に一つ、はっきり理解しておいてほしいことがある。

 ゲームクリエイターは専門職なのだ、ということだ。

 例えば、医師はどうだろうか。とてつもなく成績が良くないと医学部には入れないし、入ってからも信じられないぐらいの量の勉強をしなくちゃいけない。複雑極まりない人体構造とか生化学反応とかを全てを頭に入れ、病理や個々の薬品の持つ作用と副作用などもしっかり理解する。その上で、実際の病理病態とか診断や治療の技法とかを身につけていく必要がある。弁護士や公認会計士なら、めざす時点ではそれほどでもないけど、なるための国家試験は、やはりとてつもなく難しい。でも、それが専門職というものなのだ。「そんな勉強してたら遊ぶ暇ないよ」なんて泣き言を言っていてはいけない。

 「専門職になろうとしている者」の誇りにかけて、取り組んでみてほしい。