カフェでのつれづれ(終)
カフェは時間を過ごす場所だから、店の居心地の良さというのは重要だ。
昭和喫茶の問題点は、このへんにもある。客の回転を良くしようと思って、居心地の悪さを演出してしまいがちだからだ。ふかふかのソファに低いスツールなんてのじゃ、文章書いたりはできない。結局できることといったらお喋りだけで、その結果、まるでムクドリが住み着いた街路樹のような騒ぎになってしまっていて、文章書きの一人客なんてのは、どこにも居場所がなくなってしまうのだ。
そしてぼくが特に問題視するのが、コーヒーの味だ。
旨い方がいい? いやいや、そうも行かないんですよ。
コーヒーを味わいたいとき、大事なのは熱さだ。香味が口から鼻腔へと抜け包み込まれるためには、やはり熱くないと。でも、当然だけど、熱すぎるコーヒーは飲めない。適温、これが大事。だけど、ここで問題がある。適温というのは、とても儚いということだ。じっとしていると、すぐに消え去ってしまう。
だから、旨いコーヒーが出てくると、困るのだ。適温の間に飲みきらなくちゃという気持ちが働き、結果的にすぐなくなってしまうから。
この点において、理想的なのはスターバックスだ。「まずい」って言いたいわけじゃない。濃い、それがだいじなのだ。
スターバックスの飲み物は、カフェラテがメインだ。あるいはキャラメルマキアートとか。コーヒーは基本的にそのベースに使うためにあるから、すごく濃い。これをグランデで頼んだりすると、とてもガブ飲みというわけには行かなくなる。
でも、胃には少々こたえるけどね。
あれこれ考えてきたけど、まあ、昭和喫茶というのは、もうあらゆる点で負け組なんじゃないかな。