ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

一日にしてならぬもの(1)

 塩野七生さん『ローマ人の物語』が、コンプリートを迎えようとしている。

 もちろん、本の刊行はとっくに終わっている。コンプリートってのは、あくまでもぼくの本棚の問題だ。初回配本のを初版で買って以来十数年(もっとか?)、断続的に着々と買い進めていた結果、あとは2冊というところまで来た。でかくて分厚いハードカバーだから、十冊以上も並ぶと迫力満点。おお、これが圧巻って言葉の意味だったのか…なんて、実感させられる。

 なんでこんなに時間がかかったのか。なんといっても、本自体の仕様にある。なかなか読み進められなかったからだ。一冊の読み応えが重く、終わるのに何日もかかってしまうのだ。

 古代ローマを学ぶ上での最大のネックといったら、やっぱり人名だろう。ネロとかカリギュラとかならともかく、多くの人名は馴染みが薄い。加えて、同じ名前が多くて、思いっきり混乱してしまう。ネロの名前を出したけど、あのネロ以外にも何人もいるわけですよ。あのネロは“ネロ・クラウディウス”だけど、他に“クラウディウス・ネロ”が3人ぐらいいたりね。

 そんなわけだから、揃ったといっても、ほんとに揃っただけ。当面は、本棚の重石だ。ブックオフの本棚を埋めていたのが、山田家の本棚に変わったっていう、本自身にとってはそれほど変わらない境遇にいる。