ゲームは究極の科学なり

フルタイムの教員モードに入っている企画系ゲーム屋があれこれ綴ります

買えないッ!(3)

 思えば昔のぼくは、もっと頑固だった。気に入るものがなかったら、自分で作ってしまっていたのだ。

 そういうことをし始めたのは、概ねパソコン使い出した頃と一致する。システムノートに凝りだした時でもあって、市販リフィルを超えたものをあれこれと構想していた。PC98時代とあっては、デザインの自由度は極端に狭く、プリンタだってとうてい満足の行くものは作れない。ただ、そういう問題意識だけはずっと持ち続けていたから、後に環境が整ってからは、それはもうムキになって自作していったのだ。

 だから、自分オリジナルのランニング手帳を必ず作っていただろうし、コーネルメソッドだって、たぶんそうしていただろう。問題があるとすれば、端が空白になってしまう点。「フチまでプリント」モードにすると全体が少し拡大されて、レイアウトが微妙に崩れてしまう。でも、Illustratorをつかえば、その崩れを逆算し、最初から歪んだ形をレイアウトすることだってできる……と、きっとそんなことをし始めて、本来勉強に費やすはずだった時間をたっぷり注ぎ込んでしまったことだろう。

 今ではカラープリンタ自体を投げ出してしまった。ただ、そこまでするこだわりの方もたぶん投げ出してしまっている。そして、オリジナルランニング手帳も、作られることはない。昔はオリジナル釣り手帳まで作っていたのに。大潮・小潮の類から、潮の干満の度合いまでわざわざ書き込んでいたのに。

 ある意味、それはチャレンジだった。既存のデザイナーに対する挑戦状とも言える。また、自らのスキルアップへの取り組みでもあった。今はそういう闘争心がなくなった。それ以前に、闘争する必要性自体がなくなってもいる。

 まあ、髀肉の嘆ってやつだね。